エジプトは紀元前30年、アクティウムの海戦後にローマの属州となり、以後数百年にわたりローマ(および東ローマ=ビザンツ)の支配下に置かれました。しかし、ローマ勢力がエジプトから完全に退いた時期については、主に次の二つの時期が挙げられます。
西暦476年説
一般に西ローマ帝国は西暦476年に滅亡したとされています。ただし、実際には4世紀頃までに、ローマの実効的な支配力はすでに属州の多くの地域で後退していました。このため、西ローマ帝国の崩壊をもって「ローマ人がエジプトを去った」とみなす見方があります。
西暦646年説
もう一つの有力な時期が7世紀です。当時エジプトを支配していたのは東ローマ帝国でしたが、イスラム勢力の拡大により、正統カリフ(ラーシドゥーン朝)の軍隊がエジプトに侵攻しました。646年、アラブ人による征服が完了し、エジプトは新たに成立したイスラム帝国の一部となりました。この時点をもって、古代以来続いたローマ系政権によるエジプト支配は終わりを迎えたと考えられています。
まとめると、行政的・政治的な区切りとしては476年の西ローマ帝国滅亡、エジプトにおけるローマ(ビザンツ)支配の終焉としては646年のアラブ征服が、それぞれ一つの目安となります。