初期ギリシャ・アルファベットの6番目の字母「ディガンマ」とは
初期ギリシャ・アルファベットの6番目の字母として知られているのが「ディガンマ(Digamma)」です。記号としては大文字が「Ϝ」、小文字が「ϝ」と表記され、古代においては半母音の /w/ の音を表していました。
古期ギリシャ語で実際に使われていた音
ディガンマは、ホメロスの時代とされる古期(アルカイック)ギリシャ語で実際に使用されていました。たとえば「酒」を意味する単語は ϝοῖνος(woinos)のように綴られ、語頭の w の音を明示する役割を担っていました。
なぜ廃れたのか
時代が下るとともに、多くのギリシャ方言では /w/ の音そのものが消滅していきました。これによりディガンマは次第に不要となり、やがて標準的なアルファベットから姿を消しました。現行の24文字のギリシャ文字で6番目に位置するのはウプシロン(Υ)ですが、これは本来 母音 /u/ を表す別系統の字母であり、ディガンマを直接「置き換えた」結果として現在の配列が成り立っています。
現代に残るディガンマの痕跡
とはいえ、ディガンマが完全に消え去ったわけではありません。ギリシャの伝統的な数字体系(イオニア式記数法)では、ディガンマは「6」を表す数値記号として今も使われ続けています。さらに、この字母はフェニキア文字の「ワウ(waw)」に由来しており、ラテン文字の F やキリル文字の В の祖先にあたる点でも、文字史において重要な存在です。
まとめると、初期ギリシャ・アルファベットの6番目の字母ディガンマは、/w/ の音を表す文字として古期ギリシャ語で活用されていましたが、言語の音韻変化によって役割を失い、今日では数値記号「6」としてわずかに命脈を保っている――というのが答えです。