古代イスラエルの歴史において、首都は常に一つの都市だったわけではありません。時代や政治情勢の変化とともに、中心となる都市は移り変わってきました。ここでは、聖書の時代における主要な首都・中心都市を5つご紹介します。
シェケム(Shechem)
シェケムは聖書時代を通じて重要な役割を果たした都市で、宗教的な意味合いも強く持っていました。イスラエルの人々が集まって礼拝を行う場所として機能し、族長アブラハムやヤコブゆかりの地としても知られています。現在のヨルダン川西岸、ナブルス近郊に位置しています。
シロ(Shiloh)
王政が確立される以前、シロはイスラエル人の宗教的・政治的中心地でした。契約の箱を納める幕屋(タバナクル)が置かれ、士師記の時代には全国から人々が巡礼に訪れる聖域として栄えました。預言者サムエルも幼少期をこの地で過ごしたと伝えられています。
エルサレム(Jerusalem)
ダビデ王がエルサレムを征服し、都として定めて以降、この都市は統一イスラエル王国、そしてその後のユダ王国の首都として長く存続しました。ソロモン王による神殿建設により宗教的中心地としての地位も固めました。現在でもユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三大宗教にとって特別な意義を持つ聖地であり続けています。
サマリア(Samaria)
紀元前10世紀頃に統一王国が南北に分裂すると、オムリ王によって建設されたサマリアは北イスラエル王国(サマリア王国とも呼ばれます)の首都となりました。肥沃な丘陵地帯に位置する堅固な都市で、王国滅亡まで約200年にわたり政治の中心でした。
ティルザ(Tirzah)
ティルザは、サマリアが建設されるまでの一時期、北イスラエル王国の首都として機能していました。美しい景観で知られる都市であり、列王記にもその名が登場します。
まとめ
このように、古代イスラエルの首都は族長時代のシェケム、王政以前のシロ、ダビデ王以降のエルサレム、そして王国分裂後の北王国ではティルザからサマリアへと変遷していきました。中でもエルサレムは最も長く首都としての地位を保ち、3000年経った今なお世界の注目を集める特別な都市なのです。