ミイラ作り(ミイラ化)というと、古代エジプトの精巧な防腐処理や、インカ帝国の先祖崇拝に基づくミイラ、さらにはカナリア諸島のグアンチェ族による乾燥保存など、特定の古代文明で行われていた習慣としてよく知られています。
ネイティブアメリカンの間では一般的ではなかった
しかし、北米のネイティブアメリカン(先住民)諸文化において、意図的なミイラ作りが広く行われていたという記録や証拠はほとんどありません。多くの部族は死者を土葬したり、樹木の上やプラットフォームに安置する「高置葬」を行ったりしており、遺体を長期保存すること自体を目的とした文化は発達しませんでした。
自然ミイラと呼べる例は存在する
ただし、例外がないわけではありません。乾燥した洞窟や砂漠地帯では、偶然の結果として遺体が自然に乾燥し、いわゆる「自然ミイラ」となった事例が知られています。有名な例としては、ネバダ州のスピリット・ケーブ・ミイラ(約1万年前とされる)が挙げられます。これらは人工的な防腐処理によるものではなく、環境条件によって保存されたものです。
まとめ
エジプト人やインカ、グアンチェ族のような体系的なミイラ作りの技術は、ネイティブアメリカンの文化圏では広まらなかったと考えられています。彼らの死生観は、遺体の保存よりも魂の旅立ちや自然への還元を重視するものであり、それが葬送習慣の違いとして表れています。