イギリスからの離脱を望まなかった入植者「ロイヤリスト」とは?
アメリカ独立戦争の時代、イギリスからの独立に反対し、本国への忠誠を貫いた入植者たちは「ロイヤリスト(Loyalists)」、あるいは「トーリー(Tories)」と呼ばれていました。彼らは一枚岩の集団ではなく、さまざまな立場や事情を抱えた多様な人々によって構成されていました。
ロイヤリストが王党派であり続けた理由
ロイヤリストには、それぞれ異なる動機がありました。
富裕な地主層: 独立によって社会が不安定化し、自らの財産を失うことを恐れていました。既存の秩序を守りたいという思いが強かったのです。
商人たち: イギリスとの貿易に生活基盤を置いており、独立が経済に深刻な打撃を与えると懸念していました。
元軍人や元官僚: 大英帝国に仕えた経験を持つ人々で、王室への忠誠心や恩義の念を抱いていました。
アメリカ独立戦争におけるロイヤリストの役割
ロイヤリストは13植民地において決して無視できない存在であり、植民地人口のかなりの割合を占めていたと考えられています。彼らは独立戦争中、イギリス軍側に立って戦い、その支援は紛争の長期化の一因となりました。さらに、情報提供や物資補給といった後方支援の面でも重要な役割を果たしました。
戦後の運命:カナダとイギリスへの移住
独立戦争が終結すると、多くのロイヤリストは新しく誕生したアメリカ合衆国に居場所を見いだせず、財産の没収や迫害を受けることもありました。その結果、数万人規模のロイヤリストがアメリカを去り、カナダ(ノバスコシアやオンタリオ地方など)やイギリス本国へと移住しました。特にカナダへの移住は、同国の英語圏文化の形成に大きな影響を与えたといわれています。
このように、アメリカ独立はすべての入植者が望んだものではなく、イギリスへの忠誠を巡って社会が分裂した激動の時代だったのです。