古代エジプトの竪琴は、その構造や形状によって大きく二つのタイプに分類することができます。それぞれの特徴や用途、演奏方法について詳しく見ていきましょう。
1. 長い竪琴(ビニト)とその変種
長い竪琴(ビニト)
ビニトは、古代エジプトの音楽において最も一般的で象徴的な竪琴です。両端が丸みを帯びた細長い水平の共鳴箱を持ち、上端に設けられたブリッジの上に弦が張られています。演奏の際には、プレクトラム(撥)や指を使って弦をはじきました。
この楽器は祝祭の場や宗教儀式と深く結びついており、豊かな音色で祭りの雰囲気を盛り上げていたと考えられています。
ハープ型竪琴
ハープ型竪琴は、長い竪琴の変種の一つです。より大きな共鳴箱と湾曲したネックを備え、全体のシルエットは小型のハープを思わせます。弦はネック側に取り付けられ、プレクトラムで弾いて演奏します。
この楽器は古代エジプトの壁画や彫刻などにたびたび登場しており、宗教儀式で重要な役割を果たしていたと考えられています。
棒状竪琴
棒状竪琴は、長い竪琴を簡略化した形式の楽器です。一本の木の棒に、片端または両端へ弦を張るというシンプルな構造をしています。プレクトラムや指で弦をかき鳴らす、あるいははじいて演奏されました。
手軽に作れることから庶民の間で広く親しまれ、民衆の音楽や舞踏と密接に結びついた楽器でした。
2. U字型竪琴(ナンガ型)
U字型竪琴は、「ナンガ型竪琴」とも呼ばれ、古代エジプトの音楽では比較的珍しいタイプの楽器です。浅いU字型の共鳴箱を持ち、その開口部の上に弦が張られます。弦は共鳴箱の一端にある小さな横棒(ヨーク)に固定されるのが特徴です。
演奏方法は主に指で弦をはじくスタイルで、繊細な音色を奏でていたと考えられています。
まとめ
古代エジプトの竪琴には、代表的な「ビニト」をはじめ、ハープ型や棒状といった多彩な変種、さらに珍しいU字型(ナンガ型)まで存在していました。儀式や祝祭、民衆の娯楽など、場面ごとに使い分けられたこれらの楽器は、エジプトの豊かな文化遺産と音楽の多様性を今に伝える貴重な存在です。