結論から言うと、ジョージアン時代(ジョージ朝期、18世紀〜19世紀前半)の住宅の大半にはバスルームがありませんでした。自宅の中に専用の浴室を設けるという考え方は、19世紀後半から20世紀初頭にかけてようやく一般的になったものです。
当時の人々の入浴・排泄の実態
ジョージアン時代の人々は、日常の衛生管理のために「チェンバーポット(おまる)」や屋外の簡易便所(アウトハウス)を使っていました。入浴についても専用の浴室はなく、洗面器や桶で体を拭いたり、必要に応じて公衆浴場を利用するのが一般的なスタイルでした。
裕福な家庭だけが享受できた初期の水洗トイレ
規模の大きい富裕層の邸宅の中には、「ウォーター・クローゼット」と呼ばれる初期型の水洗トイレを備えている例もありました。ただし、当時は配管技術が未発達で導入コストも非常に高額だったため、こうした設備を持つ家はごく一部に限られていました。
バスルームが家庭に普及したのはいつから?
家庭内にバスルームや水洗トイレが広く普及し始めたのは19世紀後半以降のことです。都市部で上下水道の整備が進み、衛生に対する意識が高まるにつれて、浴室を備えた住宅が徐々に標準となっていきました。つまり、ジョージアン時代の住宅は、現代のような快適な衛生設備とはまだ無縁の時代だったのです。