古代の歴史

アングル人とサクソン人とは誰か?~イングランドのルーツをたどる~

イギリス、とりわけイングランドの歴史を語るうえで欠かせない存在が、5世紀に大陸からブリテン島へ渡ったゲルマン系民族「アングル人」と「サクソン人」です。彼らは後のイングランド王国の基礎を築き、その言語や文化は今日の英語にも深く受け継がれています。ここでは、両民族の出自とブリテンへの移住についてわかりやすく解説します。

アングル人(Angles)とは

アングル人は、現在のデンマーク南部からスウェーデン南部にかけて広がる「アンゲルン半島(アングリア)」地方に住んでいたゲルマン系民族です。

  • 故地:現在のデンマークおよびスウェーデン南部にあたるアンゲルン地方
  • 移住:5世紀頃、サクソン人やジュート人とともにブリテン島へ渡った
  • 言語:彼らが話した古英語(オールド・イングリッシュ)は、後の英語の基礎となった

興味深いことに、「イングランド(England)」という国名自体が「アングル人の土地(Engla land)」に由来していると言われています。アングル人はブリテン東部や中部に定着し、ノーサンブリア、マーシア、イースト・アングリアなどの王国を築きました。

サクソン人(Saxons)とは

サクソン人は、大陸側の北海沿岸、すなわち現在のデンマークからオランダ、ドイツ西部に至る地域に住んでいたゲルマン系民族です。

  • 故地:北海沿岸の大陸側(現在のデンマーク〜オランダ〜ドイツ西部)
  • 移住:5世紀にブリテン島へ渡り、サセックス(Sussex)、エセックス(Essex)、ウェセックス(Wessex)などの王国を建国した
  • 影響:その文化と言語は、イングランドの文化や英語の形成に多大な影響を与えた

これらの王国名にはいずれも「サクソン人の土地」を意味する「-sex」が含まれており、サクソン人の定住範囲を今に伝えています。

なぜブリテンへ移住したのか

5世紀初頭、ローマ帝国がブリテンから軍団を撤退させると、島は防衛力を失い、北方のピクト人やスコット人などの脅威にさらされました。現地のブリトン人が傭兵として招いたのがきっかけとされることが多く、その後、アングル人・サクソン人・ジュート人らが大規模に移住・定住し、先住のケルト系ブリトン人を西方(ウェールズやコーンウォール)へ押しやっていきました。

まとめ

アングル人とサクソン人は、5世紀に大陸からブリテン島へ移住したゲルマン系民族であり、彼らの定住と言語こそが「イングランド」と「英語」の出発点となりました。こうした経緯から、この時代以降のブリテンの歴史は「アングロ・サクソン時代」と呼ばれています。