キルト(kilt)の発明者が誰であるかについては、実は確定的な答えが存在しません。一人の発明家がふと思い立って生み出したものではなく、長い歴史の中で少しずつ形を変えてきた衣装だからです。
16世紀のハイランド地方に見られる原型
いくつかの歴史的資料によれば、16世紀頃からすでに、スコットランド北部のハイランド地方では男性たちが膝丈のスカート状の衣服を身につけていたとされています。山岳地帯での移動や作業に適した動きやすさが、この服装が定着した大きな理由だと考えられています。
ただし、当時のものは現在のような仕立てられたスカートではなく、「グレートキルト(Feileadh Mòr)」と呼ばれる、幅広の布を腰に巻き、上半身にも掛けて留めるスタイルでした。
現代のキルトへの進化
私たちが今日「キルト」として知る、縫製されたスカート型の衣装(スモールキルト)の誕生には、もう少し複雑な経緯があります。
- 18世紀初頭:イギリス人実業家トーマス・ローリンソンが、ハイランドの労働者の作業服として、布を短く裁断して仕立てた小キルトを考案したという説が有力視されています。
- タータン柄の意味づけ:特定の氏族(クラン)と模様を結びつける習慣は、実際には19世紀になってから商業的に体系化されたものであり、古代からの伝統というわけではありません。
まとめ
キルトの起源は、16世紀のハイランド地方の実用的な衣装にまでさかのぼることができますが、特定の発明者を挙げることはできません。時代とともに実用性と象徴性を兼ね備えた民族衣装へと進化してきた点こそが、キルトという文化の魅力といえるでしょう。