私たちが日常的に目にする「&」という記号。正式にはアンパサンド(ampersand)と呼ばれるこの記号のルーツは、なんと2,000年近く前のラテン語にさかのぼります。
起源はラテン語の「et」
アンパサンドの元となったのは、ラテン語で「〜と」「および」を意味する接続詞「et」です。古代ローマでは、文章をすばやく書き留めるために単語を省略形で表記することが一般的であり、「et」もその対象でした。
中世の写字生が生んだ省略形
中世ヨーロッパでは、写本(手書きの書物)を作成する写字生(スクライブ)たちが、高価な羊皮紙を節約しながら作業効率を上げるため、数々の省略形を考案していました。
彼らが「et」を表記する際に用いたのが、e の下半分だけを描き、その横棒を t の上部まで伸ばして一筆でつなぐという書き方です。この省略形が時代とともに洗練され、現在私たちが目にする「&」の形へと進化していきました。
現代へ受け継がれた記号
こうして生まれた合字(リガチャー)は、やがて独立した記号として定着します。19世紀の英語圏では、学校でアルファベットの27文字目として教えられるほど普及し、「and per se and(それ自体で and を意味する記号)」という呼び名が訛って「アンパサンド」という名称になったとも言われています。
たったひとつの記号にも、これほど興味深い歴史が詰まっています。次に「&」を目にしたときは、中世の写字生たちの知恵に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。