オスマン帝国の精鋭歩兵部隊として名高いイェニチェリ。しかし、その起源には驚くべき事実が隠されています。実は、イェニチェリの隊員たちはもともとキリスト教徒の少年たちだったのです。
デヴシルメ制度――家族から引き離された少年たち
14世紀後半、ムラト1世の時代に始まった「デヴシルメ」と呼ばれる徴集制度のもと、主にバルカン半島の農村部からキリスト教徒の少年たちが家族のもとから連れ去られました。彼らは故郷を離れ、帝国の支配下で新たな人生を歩むことになったのです。
イスラム教への改宗と過酷な訓練
帝国に連れて行かれた少年たちは、イスラム教への改宗を強制されました。その後、厳しい軍事訓練と教育を施され、スルタンへの絶対的な忠誠心を持つ戦士へと育て上げられました。
「新しい兵士」からなる最強部隊へ
トルコ語で「新しい兵士」を意味する「イェニチェリ(Yeniçeri)」という名称は、この独自の徴集システムに由来しています。改宗した元キリスト教徒たちは、スルタンの直属部隊として組織され、やがてオスマン帝国の軍事的中核を担う存在へと成長しました。
つまりイェニチェリとは、キリスト教徒として生まれ、イスラム教徒として再び生きた、二つの宗教世界をつなぐ特異な存在だったのです。