ワット・チェンノイ・トンランとは
ワット・チェンノイ・トンラン(Wat Chiang Noi Ton Lan)は、タイ北部・チエンライ県チエンセーン郡の旧市街内に位置する小規模な廃寺遺跡です。これまでに発掘調査と修復、周辺の景観整備が実施されており、現在は見学可能な状態で保存されています。
チエンセーンはかつてラーンナー王国の重要都市として栄えた古都であり、メコン川沿いには数多くの仏教遺跡が点在しています。当寺院もそうした遺跡群の一つです。
立地と周辺環境
遺跡はチエンセーン市街の北東側、メコン川沿いに位置しています。行政上はウィアン・チエンセーン地区(タンボン)およびチエンセーン郡の管轄区域内にあり、メコン通り(国道1290号線)の東側にあたります。
遺跡の東側にはメコン川と、ウィアン・チエンセーン地区自治体が管理する健康広場(ヘルスパーク)が広がり、遺跡からメコン川までは約60メートルです。北側と南側は商店に隣接し、西側はメコン通りに面しています。
北西へ約120メートル進むとワット・シー・マハーポー(Wat Sri Maha Pho)があり、北へ約140メートルの場所にはチエンセーン城壁の北壁が残っています。
地形・標高・水系
標高
平均海面からの標高は約370メートルです。
水路
遺跡近くを流れる主要な水路はメコン川です。
地質条件
チエンセーンはメコン川の西岸、チエンセーン平野に位置しています。この平野は、第四紀に堆積した砂や礫などの堆積物によって形成された大規模な沖積平野です。
時代と文化
- 考古学的時代:歴史時代
- 時代・文化:ラーンナー期
- 考古学的年代:仏暦21世紀(およそ西暦15世紀後半~16世紀)
- 遺跡の種別:宗教施設(寺院跡)
遺跡の概要と歴史
ワット・チェンノイ・トンランがいつ建立されたのかを示す直接的な記録は残っていません。現在では完全に廃寺となっていますが、建築様式や出土遺物の特徴から、チエンセーンが最も繁栄していた仏暦21世紀頃(西暦15~16世紀)には活動していたものと推定されています。
その後、1804年にビルマ勢力を駆逐した戦乱の中でチエンセーン市が崩壊すると、当寺院もそれに伴って放棄されたと考えられています。
現存する遺構
今日確認できる遺構としては、南北方向に配置された少なくとも2基の煉瓦製基壇があります。そのうちの一つは、かつての礼拝堂(ウィハーン)の基壇ではないかと推測されています。
その他の建造物については、現在のメコン通りや健康広場の地下に埋没している可能性があります。また、東側の市壁と同様に、メコン川の浸食によって失われた可能性も指摘されています。