考古学的発見

エジプト最古のピラミッド、ジョセル王の階段ピラミッドが14年の修復を経て一般公開を再開

歴史上初のピラミッドが14年越しで蘇った

人類史上最初に建てられたピラミッドとして知られる、エジプトのファラオ・ジョセル王の階段ピラミッドが、実に14年間に及ぶ修復工事を終え、2020年3月5日に正式に一般公開されました。

エジプト最古のピラミッド、ジョセル王の階段ピラミッドが14年の修復を経て一般公開を再開

約4700年前に建造された階段ピラミッドは、カイロの西側、サッカラ遺跡の近くに位置しています。第3王朝の王ジョセル王(在位:紀元前2628年〜2609年頃)の時代に建てられたこの建造物は、高さ63メートル。アラビア語で「ベンチ」を意味する「マスタバ」と呼ばれる石造りの墓構造を6層に重ねた形状で、中央には深さ28メートル、一辺7メートルの葬祭用竖坑が设けられています。1992年10月12日に発生した地震により基礎部分が深刻な被害を受け、竖坑の天井や複数の地下回廊が崩落の危険にさらされたため、当局は来訪者の安全を最優先に、記念碑の閉鎖と修復事業への着手を決断しました。

ギザの三大ピラミッドよりはるかに古い建造物

ユネスコ世界遺産に登録されている同ピラミッドの修復は、ユネスコとの協力のもとで進められました。地下通路の補強、亀裂の点検、内部換気の整備、そしてジョセル王の石棺が安置されていた葬祭用竖坑へ続く内部回廊の整備など、建物の内外両面にわたる大規模な作業が行われています。2006年に始まった修復事業は、当初2009年の完了が予定されていましたが、2011年にエジプトを襲った政情不安と経済危機のため中断し、2013年末にようやく再開されるという曲折を経験しました。2020年3月5日の記者会見でエジプト当局は、総費用660万米ドルを投じた本事業について「国内で実施された中でも最も野心的な修復プロジェクトの一つ」と述べています。

この階段ピラミッドを設計したのは、「平和をもたらす者」を意味する名を持つ建築家兼宰相イムホテプです。北方のギザに建つ有名なピラミッド群が登場するはるか前の建造であり、完成までに19年の歳月を要しました。その研究は考古学者たちを強く魅了し続けており、特に2001年に99歳で亡くなるまで生涯をこのピラミッドの調査と保存に捧げた、フランス人建築家ジャン=フィリップ・ラウアーの功績は特筆に値します。中でも見事なのが基礎部分です。巨大な墓を築くにあたり、古代エジプトの建設者たちは地表の下に広大な地下トンネル網を掘り進みました。これは他のどのピラミッドにも存在しない、唯一無二の迷宮なのです。

エジプト観光を後押しする新たな目玉に

2020年末のグランド・エジプト博物館(GEM)の開館が控えるほか、2018年にはダハシュールの屈折ピラミッド(ベントピラミッド)と隣接する「赤いピラミッド」もすでに公開されています。今回の修復完了により、観光客をエジプトへ呼び戻すための観光資源が一段と充実しました。日刊紙「Egypt Today」によれば、2019年のエジプトの観光収入は164億米ドルに達したとされ、非常に有望な数字となっています。

一方、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、旅行を見送る観光客が増えることへの懸念も浮上しています。エジプトではクルーズ船の乗客ら約40件の感染者が確認され、2020年3月9日にはドイツ人観光客の死亡(アフリカ大陸で最初の公式なコロナ死亡例)が発表されました。それでもエジプト観光省は、感染防止に向けたあらゆる対策を講じていると強調しています。

*参考:フランスの2019年の観光収入は約560億ユーロでした。