結論からお伝えすると、「TRUST」の綴りが誤って刻印された1926年アメリカ銀ドルの実例は、これまでに一切確認されていません。米国造幣局が発行してきた硬貨において、「TRUST」という言葉の綴りは常に正確に刻まれてきました。ただし、この疑問が生まれる背景には、ある興味深い理由があります。
「IN GOD WE TRVST」は綴りミスではない
1926年に発行された1ドル銀貨は「ピースダラー(Peace Dollar)」です。裏面には「IN GOD WE TRVST」というモットーが刻まれており、通常の「U」ではなく、古代ローマ風の字母「V」が使われています。一見すると「TRUST」の綴りを間違えたように見えますが、これはデザイナーであるアンソニー・デ・フランチシ(Anthony de Francisci)が意図的に採用したローマン様式のデザインであり、鋳造エラーではありません。
つまり、すべての1926年ピースダラーにこの「TRVST」表記が施されているため、それ自体が特別な価値を持つことはありません。
摩耗や汚れによる見た目の変化に注意
また、長年の流通による摩耗や汚れで文字の一部が薄くなると、綴りが間違っているように見えることがあります。しかし、これは経年劣化によるものであり、製造時のエラーではないため、コレクターズバリューはほとんど期待できません。
1926年ピースダラーのおおよその価値
1926年ピースダラーは、フィラデルフィア造幣局とサンフランシスコ造幣局で発行されました。流通品であれば銀地金としての価値を含め、おおよそ数十ドル程度で取引されるのが一般的です。一方、傷や摩耗がほとんどない高グレードの未使用品では、状態によっては数百ドル以上の評価が付くこともあります。
鑑定を受けたい場合の対処法
「自分のコインこそ特別なエラーかもしれない」と感じられる場合は、PCGS(Professional Coin Grading Service)やNGC(Numismatic Guaranty Company)といった第三者鑑定機関に査定を依頼するのが最も確実です。専門家による鑑定で真贋や保存状態(グレード)が判定され、適正な市場価値が明らかになります。ただし、前述の通り「TRUST」の綴りミスが公式に確認された記録はないため、過度な期待は禁物です。
まとめると、「TRUST」の綴りミスとされる1926年銀ドルは実在せず、「TRVST」という表記は意図的なデザイン上の工夫です。お手持ちのコインの価値を知りたい場合は、保存状態に応じた相場を参考にしつつ、必要であれば専門機関の鑑定を受けることをおすすめします。