結論:1973年DペニーにVDBは存在しない
結論からお伝えすると、1973年にデンバー造幣局で鋳造されたDペニー(1セント硬貨)に「VDB」のイニシャルは刻まれていません。硬貨の裏面下部にVDBを探しても見つかることはないため、ご安心ください。
ちなみに、1973年Dペニーの「D」という刻印はミントマーク(造幣局マーク)であり、コロラド州のデンバー造幣局で製造されたことを示しています。これはVDBとはまったく別のものであり、混同しないよう注意が必要です。
VDBとは何を意味するのか
VDBは、リンカーン1セント硬貨のデザイナーであるビクター・デイヴィッド・ブレナー(Victor David Brenner)のイニシャルです。1909年にリンカーン・セントが初めて発行された際、彼の功績を称えるため、硬貨の裏面(リースの麦の穂の間)に大きくこのイニシャルが刻まれていました。
なぜVDBは削除されたのか
1909年の発行直後、「VDBの文字が大きすぎて硬貨のデザイン全体を損なっている」という批判が世論から多数寄せられました。これを受けて当局は同年中に製造を中止し、VDBの刻印を外した新しいデザインへと切り替えました。
この短期間だけ鋳造されたことにより、特にサンフランシスコ造幣局製の「1909-S VDB」(発行枚数わずか約48万4千枚)は、現在ではアメリカのコレクターズコインの中でも屈指のレア品として高値で取引されています。
その後のVDB――1918年の復活
ブレナーへの敬意は忘れられたわけではありません。1918年、VDBのイニシャルは硬貨の表面(リンカーンの肩口付近)にごく小さな文字として復活しました。この位置にあるVDBは、現代のリンカーン・セントにも受け継がれています。
つまり、1973年Dペニーにも実はブレナーのイニシャル自体は存在しますが、それは裏面ではなく、表面のリンカーンの肩の下に極めて小さく刻まれたものです。拡大鏡などを使えば確認できるので、ぜひお手持ちの硬貨で探してみてください。