シャー・ジャハーンの墓とは
シャー・ジャハーンの墓は、インド北部の都市アーグラにある霊廟です。17世紀、ムガル帝国の皇帝シャー・ジャハーンは、早逝した最愛の妃ムムターズ・マハルを弔うため、壮大な白亜の霊廟「タージ・マハール」を建造しました。皇帝自身もまた、晩年を幽閉されて過ごした後、この霊廟に妃の傍らへと葬られています。
4本のミナレット(尖塔)と巨大なドームを備えた純白の大理石造りの姿は「世界で最も美しい建築物の一つ」と讃えられ、1983年にはユネスコの世界遺産にも登録されました。
建設の歴史
建設は1632年に着手され、1648年頃に主要部分が完成しました。設計を主導したのは、ペルシャ系の建築家ウスタッド・アフマド・ラホーリーであると伝えられています。建物には遠方から運ばれた高級な白大理石がふんだんに使用され、表面は精緻な彫刻や宝石細工で飾り上げられました。その建設には2万人を超える職人や労働者が動員されたと言われています。
建築のみどころ
シャー・ジャハーンの墓を納めるこの霊廟は、四隅にそびえる4本のミナレットと、中央に鎮座する巨大なドームが最大の特徴です。ドームは二重構造(二重殻)となっており、内部に独特の反響効果が生まれるよう巧みに設計されています。
壁面や天井は花模様の彫刻やアラビア語によるクルアーン(コーラン)の章句で彩られ、白大理石に宝石を嵌め込む「ピエトラ・デューラ」と呼ばれる装飾技法が随所に施されています。
現在の墓所と観光情報
現在、この霊廟は世界中から観光客が訪れるインド屈指の人気観光スポットです。開園時間は日の出から日没までで、毎週金曜日は休園となります。中央墓室への立ち入りには一定の制限がありますが、広大な庭園や外周からはその荘厳な姿を間近に楽しむことができます。朝焼けや夕暮れ時に白い大理石が淡く染まる光景は格別の美しさで、多くの訪問者を魅了し続けています。
「黒いタージ・マハール」の伝説
シャー・ジャハーンには、白いタージ・マハールの川向こうに、黒大理石で造られたもう一つの霊廟「黒いタージ・マハール」を建てようとしていたという伝説が残っています。しかしこの計画は実現することなく、皇帝は息子アウラングゼーブによって帝位を奪われ、幽閉のまま生涯を閉じたとされます。
対岸の庭園メーターバーグからは黒い石材らしきものが発掘されたこともありますが、現在では変色した白大理石だったと考えられています。一説には、未完の黒いタージにはシャー・ジャハーンの魂が今も宿るとも言われ、この伝説は霊廟にロマンティックな神秘性を添えています。