考古学的発見

ピラミッドの建材はどこから調達された?古代エジプトの採石場を解説

古代エジプトでピラミッドを建設する際に使用された石材は、国土の各地に点在する採石場から切り出されました。主に使われたのは石灰岩と花崗岩(みかげ石)の2種類で、それぞれ性質や用途に応じて異なる地域から調達されていました。

石灰岩の採石場

ピラミッドに最も大量に使用された石灰岩は、建設現場のできるだけ近くにある採石場から採掘されました。特にギザの大ピラミッドでは、ナイル川を挟んだ対岸に位置するトゥーラ(Tura)の良質な白い石灰岩が、外装を覆う化粧石として大量に切り出されたことで知られています。トゥーラ産の石灰岩はきめ細かく光沢があり、完成したピラミッドは太陽光を受けて白く輝いていたと考えられています。

花崗岩の採石場

一方、はるかに硬く重い花崗岩は、建設地から数百キロメートル離れた南のアスワン(Aswan)地方の採石場から運ばれました。アスワン産の赤色花崗岩は、王の埋葬室(玄室)の壁や天井、間仕切りなど、高い強度が求められる部分に使用されています。アスワンの採石場跡には現在も未完成の巨大なオベリスクが残されており、当時の採石技術の一端をうかがい知ることができます。

ギザの大ピラミッドにおける石材の使い分け

ギザの大ピラミッドは、石灰岩と花崗岩の両方を使用した代表的な例です。本体の大部分には近隣で採れた石灰岩が、埋葬室などの最重要構造部分にはアスワン産の花崗岩が使われました。これらの重い石材は、ナイル川とその支流の水路を利用して船で運搬されたと考えられており、洪水期には採石場の近くまで水が届いたことも、大規模な輸送を可能にした要因といわれています。

このように、ピラミッドの建設材料は「近郊の石灰岩」と「遠方の花崗岩」というように石材ごとに使い分けがなされており、用途に応じて最適な採石場から計画的に調達されていたのです。