歴史上の人物

シャルロット・コルデー――政治的狂信の果てにマラーを暗殺した革命の女性

ジャン=ポール・マラーを暗殺したマリー=アンヌ=シャルロット・ド・コルデー・ダルモンは、1793年にパリで断頭台の露と消えた。フランス革命を今に伝える偉大な人物の一人である。

強靭な精神を持った女性

シャルロットは1768年、没落の危機にあった貴族の家に、父ジャック=フランソワ・ド・コルデー・ダルモンと母シャルロット=マリー=ジャクリーン・ド・ゴティエ・デ・オーティユー・ド・メニヴァルの娘として生まれた。劇作家ピエール・コルネイユの来孫(5代目の子孫)にあたる。

13歳のとき母親が亡くなると、困窮した父は子供たちの預け先を探さざるを得なくなった。シャルロットは姉妹とともにカーンのアベイ・オ・ダム(女子修道院)に預けられ、質の高い教育を受けることになった。彼女は保守的でありながら誠実な信仰を育み、ルソーやモンテスキューを読みながら哲学を学んだ。精力的で独立心に富むシャルロットは強い個性の持ち主で、「男のような性格」と評されたという。

「マラーの首を落とせば、国は救われる」

修道院を出た後、シャルロット・コルデーは一時父の家に戻ったが、1791年初頭、革命熱に沸き立つカーンに住む叔母のもとへ移り住んだ。そこで憲法に基づく体制の理念を擁護し、ヴァレンヌ逃亡事件による国王逮捕の一報に接することになる。

1792年9月2日から7日にかけて、王党派の容疑者や国王の親類、使用人たちが即決処刑される「九月虐殺」が発生した。フェミニストの先駆者オリュンペ・ド・グージュと同様、シャルロットは、ジャコバン派の議員ジャン=ポール・マラーがこの虐殺を容認したことに深い憤りを覚えた。

カーンでは、ジロンド派議員が主催する集会にたびたび参加していたシャルロットは、1793年5月31日と6月2日の暴動(ジロンド派追放)の状況を知るうちに、闘争においては違法な手段を用いることも正当化されうると確信するようになった。マラーこそフランスの敵だと。実際、ジロンド派の議員ペズナスは「マラーの首を落とせば、国は救われる」と語っていたという。マラーを標的に定めたシャルロットは、人民を暴君から解放できると信じ込んでいたのである。

マラー暗殺

カーンを発ってパリに向かったシャルロット・コルデーは、1793年7月13日の朝、マラーへの面会を求めたが果たせなかった。そこで彼女は、カーンで陰謀が企てられていると伝える二通の手紙を送り、直接マラーの邸宅へと向かった。苦痛に悩まされ入浴中だったマラーのそばに入ることに成功したシャルロットは、しばらく会話を交わした後、短剣を抜いてマラーを刺した。刃は右肺と心臓を貫通し、マラーは浴槽の中で絶命した。

マラーの愛人と屋敷の人々によって取り押さえられたシャルロットは、アベイ刑務所に収監された。7月16日、革命裁判所に被告として出廷。犯行を全面的に認め、計画的殺人の罪で有罪判決を受け、死刑を宣告された。処刑は翌日に執行された。法廷の命令により、通常は親殺しの罪人に着せる赤いシャツを身につけた彼女は、静かに断頭台の階段を上ったという。

暗殺前にフランス国民へ宛てて書かれた手紙

以下は、シャルロット・コルデーが暗殺前にフランス国民へ宛てて書いた手紙であり、アベイ刑務所での身体検査の際に所持品から発見されたものである。

「いつまで、ああ惨めなフランス人よ、あなたは争いと分裂に耽り続けるのか?あまりにも長い間、反逆者ども、悪党どもが、公共の利益の代わりに己の野心の利益を据えてきた。なぜ、彼らの狂気の犠牲者であるあなたは、フランスの廃墟の上に彼らの専制の欲望を築き上げるために、自らを滅ぼそうとするのか?

派閥抗争は至る所で噴出し、山岳派は犯罪と抑圧によって勝利を収めている。血にまみれたわずかな怪物どもが、こうした憎むべき陰謀を推し進めている……我々は、自由を勝ち取るために誰も捧げたことのないほどの熱意とエネルギーをもって、自らの破滅を進めている!おおフランス人よ、もう少し時が経てば、あなたに残されるのは自らの存在の記憶だけとなるだろう!

すでに憤激する地方諸県はパリへ進軍しつつあり、不和と内戦の炎はこの広大な帝国の半分を焼き払おうとしている。それを消し止める手段はまだ残されている。しかし、その手段は迅速でなければならない。すでに最も卑劣な悪党マラー――その名ただそれだけであらゆる罪の姿を浮かび上がらせる男――が復讐の鉄刃の下に倒れれば、山岳派は揺るぎ、ダントンやロベスピエール、この血塗られた玉座に君臨する他の盗賊どもは戦慄するだろう。人類の復讐の神々が雷霆を掲げているのは、疑いなく、彼らの転落をいっそう壮麗なものとし、欺かれた民衆の廃墟の上に己の運を築こうと企む者すべてを怯えさせるためなのだ!

フランス人よ!敵を知っているはずだ。立ち上がれ!進め!打ち倒された山岳派が、もはや一人の兄弟も、一人の友人も残さぬように!天が我々に共和政府を用意してくれているかどうかは分からない。だが、その報復の極みにおいて、山岳派を我々の主として与えることは決してないだろう[...] おおフランスよ!あなたの安寧は法の執行にかかっている。私はマラーを殺しても、それを損なわない。全世界に断罪された彼は、もはや法外者なのだ。どこの法廷が私を裁くというのか?もし私が有罪なら、怪物どもを滅ぼしたアルキデス(ヘラクレス)もまた有罪だったということになる![...]

おお我が祖国よ!あなたの不幸は私の心を引き裂く。私が捧げられるのは、この命しかない!そして、この命を自らの手で処分できる自由を、私は天に感謝する。誰も私の死によって損をすることはない。私はパリの人々のように自ら命を絶ったりはしない。私の最期の吐息が同胞の役に立ち、パリへ運ばれる私の首が、法の友すべての結集の標となることを願う。動揺する山岳派に、その喪失が我が血の中に刻まれるのを見せつけよう!私が彼らの最後の犠牲者となり、復讐を遂げた世界が、私が人類のために立派に尽くしたと宣言せんことを!それでもなお、私の行いが別の目で見られるとしても、私はほとんど気にかけない。世界よ、この偉業に驚嘆せよ。それが恐怖の対象であろうと賞賛の対象であろうと、記憶に生き残ることに執着しない私の心は、非難も栄光も問題にしない。常に独立し、常に一市民である私にとって、義務こそがすべてであり、ほかの何ものも無に等しい。さあ、隷属からの脱出のみを思え!...

私の両親や友人たちは心配する必要はない。誰も私の計画を知らなかったのだから。完全なる献身に導かれた、かくも弱い手が何を成しうるかを示すため、この手紙に私の洗礼証明書を添えておく。仮に私の企てが成功しなかったとしても、フランス人よ!私はあなたに道を示したのだ。敵を知っているはずだ。立ち上がれ!進め!打ち倒せ!」