「ジョン・カボットがタラを発見したのは何年か?」という質問をよく見かけますが、正確に言えば、カボットがタラそのものを発見したわけではありません。タラは彼の探検以前から、ヨーロッパ人にとってすでによく知られた魚だったのです。
タラはヨーロッパでは古くから知られていた
タラ(コッド)はバルト海や北海などヨーロッパ近海に広く生息しており、中世ヨーロッパでは重要なタンパク源として盛んに漁獲されていました。干しタラや塩蔵タラは保存食として珍重され、肉食を避けるべき宗教上の斎日の食卓を支える一大産業にもなっていました。したがって、15世紀末に活躍したカボットの時代に、ヨーロッパ人がタラを知らなかったはずがないのです。
カボットの1497年の航海が果たした役割
とはいえ、カボットの航海が歴史的に重要であることは間違いありません。イタリア出身の探検家ジョン・カボット(本名ジョヴァンニ・カボート)は、イングランド王ヘンリー7世の支援を受けて1497年にブリストル港を出航し、北米大陸——現在のカナダ・ニューファンドランド島付近——に到達しました。これはコロンブスの新大陸到達(1492年)からわずか5年後の出来事です。
伝えられるところによれば、カボットはニューファンドランド沖の海域が驚くほど豊かなタラの漁場であることを本国に報告しました。網を投げ込むだけで大量のタラが捕れたとも語られています。この報告こそが、後のヨーロッパ諸国によるグランドバンク漁場開発のきっかけとなったのです。
「発見」ではなく「大漁場の報告」
さらに言えば、バスク人漁師たちがコロンブス以前からすでに北大西洋の豊かな漁場に足を踏み入れていた可能性も指摘されています。つまりカボットの功績は「タラという魚の発見」ではなく、「新大陸沖に無尽蔵のタラ漁場が存在することをヨーロッパへ知らせた」ことにあります。
まとめると、「カボットがタラを発見した年」は存在せず、正しくは「1497年の航海でニューファンドランド沖の大漁場を報告した」と表現するのが適切です。