イスラム世界における奴隷制度:演習問題
本演習では、イスラム世界における奴隷制度の歴史について、4つの選択問題を通じて理解を深めます。各問題の後に解答と詳しい解説を掲載していますので、まずは自力で解答してみてください。
問1
『ドン・キホーテ』の作者として知られるミゲル・デ・セルバンテスは、イスラム勢力によって奴隷とされた有名なヨーロッパ人の一人です。彼はどのような経緯で奴隷にされたのでしょうか。
a) 小説『ドン・キホーテ』第二部が出版された1615年以降
b) スペイン統一をめぐるムーア人との戦争が終わった1480年以降
c) 1453年にトルコ人がコンスタンティノープルを陥落させる以前
d) 1571年のレパントの海戦でトルコ軍と戦った後
e) 1415年のセウタ征服の最中
問2
次の文章を読んでください。
「アフリカの半分を改宗させることで、イスラムは奴隷制をいっそう助長することとなった。イスラム自身が古くから奴隷制を実践していたからである。ムハンマド以前の6世紀にはすでに、アラブ商人たちはアフリカ東岸のあらゆる港を訪れ、穀物や肉、干し魚をバントゥー系諸族と奴隷と交換していた。非ムスリムの黒人社会においても、奴隷制はごく普通の事柄とみなされていた。」(COSTA, Ricardo da.『アフリカにおけるアラブの拡大とガーナ、マリ、ソンガイの黒人帝国〔7〜16世紀〕』In: NISHIKAWA, Taise Ferreira da Conceição.『中世史:歴史II』São Paulo: Pearson Prentice Hall, 2009, p.34-53)
上記の文章から読み取れる内容として正しいものはどれか。
a) イスラム以前のアフリカには奴隷制が存在しなかった。
b) イスラム以前の中東には奴隷制が存在しなかった。
c) アフリカへのイスラム拡大後、すでに存在していた(黒人社会内にも存在した)奴隷貿易が大幅に拡大された。
d) イスラムの奴隷制とアフリカの奴隷制の間には関連性がない。
e) ヨーロッパ人がアフリカに到達した時点で、奴隷制はすでに存在しなくなっていた。
問3
ムスリム圏のアフリカ、および一部のサブサハラ・アフリカ諸国における奴隷制の時代的広がりについて、正しく述べているものはどれか。
a) 19世紀半ばまで続き、ヨーロッパの新植民地主義がアフリカ全土で奴隷制を廃止した。
b) 奴隷制が存続した全期間を通じて、肌の色を理由に奴隷とされたのはサブサハラ・アフリカ出身の黒人だけだった。
c) 奴隷制を実践したのはムスリムだけであり、彼らは16世紀以降この慣行を放棄した。
d) アフリカの奴隷制は15世紀、ポルトガル人が大西洋岸に到達したことで終焉した。
e) ごく小規模ではあるが今日まで続き、とりわけボコ・ハラムのような過激派テロ組織が支配する地域で見られる。
問4
イスラム圏における奴隷制について、正しい記述はどれか。
a) トルコ・オスマン帝国の時代に奴隷制は廃止された。
b) イスラムの創始者ムハンマドは奴隷を所有していなかった。
c) ムハンマドの死後、奴隷制の実践ははるかに困難になった。
d) イスラム世界の奴隷制は、トルコ・オスマン帝国の成立とともに始まった。
e) イスラムは、それ以前からアラビアに存在していた奴隷制の慣行を拡大した。
解答と解説
問1の解答:D
ミゲル・デ・セルバンテスはレパントの海戦に従軍しました。これは教皇ピウス5世が結集したカトリック連合艦隊と、パシャ率いる(イスラム化した)オスマン・トルコ艦隊との間で地中海で交わされた海戦です。セルバンテスはこの戦いで胸と手に重傷を負いました。戦闘後、彼はトルコ側に加担するギリシャ人私掠船員に捕らえられ、奴隷とされたのです。
問2の解答:C
奴隷制の慣行は、イスラム以前からアラブ部族間にもアフリカ諸王国間にもすでに存在していました。しかし、イスラムの台頭と、アフリカ方面へ拡大したアラブ人の改宗により、奴隷制の実践は格段に激化しました。その理由は、イスラム拡大以前の人身売買には、ムスリムたちが後に築き上げたような複雑で組織的な仕組みが存在しなかったことにあります。
問3の解答:E
アフリカ大陸における奴隷制は20世紀初頭まで顕著な存在でした。つまりその頃まで、一部のイスラム諸国では奴隷制が制度化された形で依然として行われていたのです。その後、イスラム圏アフリカで奴隷制は廃止されましたが、ボコ・ハラムのような過激派イスラム主義組織が支配する一部の地域では現在もこれが踏襲されており、他地域から誘拐されたキリスト教徒の少女や10代の若者たちが性的奴隷にされています。
問4の解答:E
イスラムの創始者ムハンマドも奴隷を所有していました。奴隷制は、イスラムが興るはるか前からアラブ人の間でごく一般的な慣行だったからです。イスラムは既存の奴隷制を廃止するどころか、むしろその規模を拡大させたといえます。