ジョン・D・ロックフェラーが率いるスタンダード・オイルは、19世紀後半のアメリカにおいて水平統合(horizontal integration)を駆使して巨大な独占体を築いたことで知られています。水平統合とは、同じ事業段階にある競合企業、つまりライバルの製油所などを買収・合併することで市場シェアを拡大する戦略です。
ロックフェラーの水平統合の進め方
1. 競合製油所の買収と統合
1870年にスタンダード・オイルを設立したロックフェラーは、クリーブランドを起点として周辺の製油所を次々と買収していきました。彼は競合企業に対し、株式による買収提案を行い、拒否する企業には価格競争や供給遮断といった圧力をかけることもありました。この手法は「クリーブランドの虐殺」と呼ばれることもあります。
2. 鉄道会社とのリベート契約
ロックフェラーは鉄道会社と密接な取引を行い、大量輸送を見返りとした割引運賃(リベート)や、競合他社の情報を得る特別契約を獲得しました。これにより輸送コストで優位に立ち、小規模な製油所は価格競争で勝ち残ることが困難になりました。
3. トラスト(信託)の創設
1882年には世界初の本格的な独占組織である「スタンダード・オイル・トラスト」を設立しました。各州に散らばる関連会社の株式を信託証書に一元化することで、法的制約を回避しながら全国規模の統括を実現しました。
1880年代までに達成された支配力
これらの戦略の結果、スタンダード・オイルは1880年頃にはアメリカの原油精製能力の約9割を支配するに至りました。その後、ロックフェラーは油田開発からパイプライン、輸送、販売までを自社でカバーする垂直統合(vertical integration)へと展開し、独占体制をさらに強固なものにしていきました。
まとめ
ロックフェラーの成功の鍵となったのは、まず競合を呑み込む水平統合で市場をほぼ独占し、その後に垂直統合でサプライチェーン全体を掌握したという二段階の戦略でした。この手法は後のアンチトラスト法(シャーマン法、1890年)成立の背景ともなり、1911年にはスタンダード・オイルは34社に分割されることになります。