歴史物語

戦前の学生の愚かさ――「戦前の教育は優れていた」は神話に過ぎない

「戦前の教育は優れていた」という通説への疑問

「高校卒業生の学力が劇的に低下している」「第二ポーランド共和国の教育こそ模範だ」「戦前のマチュラ(卒業試験)は今の修士号に相当する」――こうした声を耳にすることは少なくない。しかし、戦前を生きた人々は決して同意しなかっただろう。

当時の新聞が伝える「恐ろしく低い知的水準」

戦前の新聞を紐解けば、講師たちが卒業生や学生のレベルに絶望していたことがわかる。1939年3月、ウッチの日刊紙『レプブリカ』は広く合意された見解として、「高校卒業生の知的水準は恐ろしく低い」と報じている。

一部の教師や講師はさらに踏み込み、大学を出た者たちの教養の欠如を指摘した。同紙はいくつかの具体例を挙げており、それらは「戦前教育の神話」を検証する格好の材料となっている。

ああ、今の若者は――1930年代末の実態

心理学者・教育学者のヨゼフ・ピーテル博士が行った調査によれば、1930年代末に大学進学を志す若者の知識状態は酷いものだった。

「天文学の知識は誤りだらけ(季節が変わる原因を知らない)、化学も不十分(脂肪を元素だと答える)」

戦前の学生の愚かさ――「戦前の教育は優れていた」は神話に過ぎない
ピーテル博士の調査は、戦前の高校卒業生の知識水準を如実に物語っている

人文系ならましだったのでは、と思うのは甘い。ピーテル博士は嘆く。

「政治制度に関する知識は『現代ポーランド学』という特別講義で扱われたはずだから、最低限の概念は知られているはずだ。しかし現実は真逆だった。例えば『現代国家の主要な権限を挙げよ』という問いに、立法・行政・司法の三権分立を正しく答えたのはわずか1例だけだった」

「大半の回答は『モシツキ大統領、内閣、ヴォイヴォダ、スタロスタ……』といったものだった。『民主制の対義語は何か』という問いにも、回答は不正確で、時には珍回答のオンパレードだった。君主制、ファシズム、寡頭制、ソビエト、古代国家、貴族制、ナチズム、立憲制、王国、神権政治、群衆支配――ありとあらゆる政治形態が挙げられていた」

著名人の名すら知らない学生たち

カジミェシュ・バルトェル教授(5度の首相を務め、リヴィウ工科大学で教鞭を執った)は、当時の若者の姿をこう描写している。

「学生の58%がラモン・ポアンカレを知らなかった」――フランスの大統領を5度務め、数年前に亡くなったばかりの人物だ。「11%はガリレオについて何も言えなかった。48%がリヒャルト・ワーグナーを知らなかった」

戦前の学生の愚かさ――「戦前の教育は優れていた」は神話に過ぎない
戦前の学生たちも、一般教養に大きな穴があった(着色:RK)

ヤギェウォ大学の経済学者が暴いた「珍回答」の数々

最も辛辣だったのは、ヤギェウォ大学の経済学者アダム・ハイデル教授だ。彼は数々の「興味深い」事例を挙げている。

  • 「正教(Orthodox)の定義を問うと、答えは『正教』」
  • 「アンケート(ankieta)を『店や役所で名前を書く用紙』だと答える」
  • 「5% of 200(200の5パーセント)がいくらか分からず、『紙と鉛筆がないから方程式を立てられない』と説明する優等生までいた」

さらに酷い例もある。

「法学博士の資格を持つ者が、ハンガリーがポーランドと国境を接しているか知らない。クールラントを『リトアニアとロシアの間の小国』と説明し、ドイツを『ロシアとポーランドの間にある国』だと答える」

戦前の学生の愚かさ――「戦前の教育は優れていた」は神話に過ぎない
本記事のベースとなった『イラストロヴァナ・レプブリカ』誌の表紙

Nihil novi sub sole(太陽の下に新しきことはなし)

クラクフの学者ハイデル教授は、間違いを指摘するだけでなく、ポーランド教育がこの惨状に陥った原因を3つ挙げた。

  1. 高校での不十分な準備は、その組織運営と教授法の姿勢に起因する
  2. 一般教養に極めて乏しい家庭環境
  3. 大学の過密状態

耳慣れた話ではないか。ウッチ紙の論評も、70年以上前ではなく、今書かれた記事そのものだ。

「初等学校も中等学校も、近代的な教育学・教授法のスローガンを実践するあまり、行き過ぎた。一部の極めて重要な事項を教えることに、あまりに多くの時間を費やしてしまった。皮肉なことに、 『時代遅れで、乾燥した、言葉ばかりの戦前の学校』の方が、よほど多くのことを教えることができていたのだ」 […] 「少なくとも90%の学生を進級させるという命令を、一刻も早く出さねばならない」

結論:神話に惑わされないために

こうして見ると、第二ポーランド共和国の中等教育が「比類なき高水準」だったというのは、大半が神話に過ぎない。現代のポーランド教育の憂鬱を語る際、誰かが再び「戦前の高校卒業資格は今の修士号に匹敵する」などと持ち出したら、この事実を思い出してほしい。

出典

  • 「学術青年の低水準は、一般教育制度と中等学校の誤りの結果」、『イラストロヴァナ・レプブリカ』、1939年3月8日、7面。