エジプト南部(上エジプト)のアルバハナサで行われた発掘調査で、考古学者たちを驚かせる異例の発見がありました。黄金の舌を持つ男女のミイラが出土したのです。しかも、この種の発見は今回が初めてではありません。
上エジプトの町アルバハナサでは、約2500年前に生きた男性と女性の遺体が発見されました。発掘を行ったのは、バルセロナ大学から派遣されたスペインの考古学調査隊です。調査員たちは、ミイラの口の中に黄金製の舌が納められていたことを知り、大きな驚きを受けました。墓は第26王朝(サイス王朝、紀元前664年~紀元前525年)の時代に築かれたもので、被葬者の身元はまだ特定されていませんが、生前は夫婦だった可能性が高いとみられています。
「現在も棺に刻まれた銘文の解読を進めています。解読が進めば、埋葬された人々の正体が明らかになるはずです」と、調査隊の責任者の一人マイト・マスコルト氏はスペイン紙ラ・バングアルディアに語りました。
異例の発見
二人の遺体は、隣り合って安置された石灰岩の棺に収められていました。墓があるのは、古代都市オクシリンコスの跡地です。この遺跡は100年以上にわたって考古学者たちによって調査されており、今なお新たな発見をもたらし続けています。これまでにも膨大なパピルスのコレクションが出土しており、その中には新約聖書外典に関連する文書も含まれていました。

墓からは、釉薬をかけた陶器(ファイアンス)製の葬礼用小人像「ウシャブティ」が実に402体も見つかりました。
残念ながら、女性の棺は古代に盗掘されていました。一方、男性の眠る棺は手つかずのまま残されていたといいます。「今日まで封印されたまま残されている墓は、そう多くありません」と、研究者の一人エステル・ポンス・メラード氏は『ザ・ナショナル』紙に強調しました。
古代エジプト人の信仰によれば、黄金の舌の形をしたお守りは、来世において冥界の神オシリスと会話することを可能にするものでした。死者の口に金箔を置く習慣については、『死者の書』などにも記録が残っています。それによれば、来世へ旅立つ人はこのお守りのおかげで、呼吸をし、話をし、食べることができるとされていたのです。
さらに墓からは、内臓を保存するためのカノポス壺4個や、スカラベ(フンコロガシ)をかたどったお守り、ビーズ、そして前述の402体ものウシャブティなど、古代文明の貴重な遺物が数多く出土しました。小型の鍬(くわ)と袋を持たせられたこれらの人形は、来世での労働から墓の主人を解放する役割を果たすと信じられていました。

バルセロナ大学のスペイン調査隊は、ミイラが黄金の舌を持っていたことに驚きを隠せませんでした。
初めての発見ではない
実は2021年1月にも、黄金の舌を持つミイラが発見されています。場所は地中海沿岸のタポシリス・マグナ遺跡でした。こちらの被葬者たちは、アルバハナサの死者たちより500年ほど新しい時代の人々です。興味深いことに、当時発見された16体のミイラのうち、黄金の舌を持っていたのはわずか2体だけでした。なぜでしょうか?
これについてはいくつかの説があります。最も有力なのは、単純に高価なお守りを購入できる人が限られていたという説です。また、オシリスに対して弁明しなければならないことを恐れた人だけが求めたという可能性もあります。さらに、黄金の舌の多くが盗難に遭ったという可能性も指摘されています。
参考文献:
- Polskie Radio「Egypt. Two mummies with golden tongues discovered」(2022年1月4日閲覧)
- Gershon, L., Smithsonian Magazine「Mummies With Gold Tongues Found Inside 2500-Year-Old Tombs in Egypt」(2022年1月4日閲覧)
- Grzelak, K., Focus「They died with golden tongues. Scientists are investigating where the mysterious Egyptian ritual came from」(2022年1月4日閲覧)