
図:古代ローマの死刑「ダムナティオ・アド・ベスティアス」(モザイク画)
国家と神の法を破れば、逃れられぬ死が待っていた
古代ローマにおける死刑は、かつてないほどの苛烈さと徹底した規則性をもって執行されていました。国家の法や神々の掟に背いた者は、ほとんどの場合、処罰から逃れることはできなかったのです。
想像するだけで戦慄が走る拷問の数々
重罪を犯した者に科された拷問のバリエーションは、考えるだけでも身の毛もよだつものでした。炎、水、石——あらゆる手段が罪人に「相応の罰」を与えるために正当化されました。
その中でも最も凄惨で残酷なもののひとつとして知られるのが、いわゆるダムナティオ・アド・ベスティアス(damnatio ad bestias)です。これは、不運な罪人を生きたまま猛獣に食い殺させるという刑罰でした。
紀元前2世紀に導入された「見世物」としての死刑
ダムナティオ・アド・ベスティアスは紀元前2世紀に導入され、観る者にとって最も壮観で「美しい」刑罰のひとつとみなされていました。そのため、この処刑は常に大勢の観衆を惹きつけ続けました。人々はこの見世物を見逃すまいと円形闘技場(アンフィテアトルム)へと押し寄せ、そこで間もなく、罪人がライオンやトラによって恐ろしく引き裂かれる光景を目撃することになるのです。
反乱奴隷たちに下された死刑宣告
この刑罰は、反乱を起こした奴隷に対して下される死刑の形式でもありました。猛獣に引き裂かれる前に、恐怖のあまり心臓発作を起こして事切れてしまう者さえ少なくなかったといいます。
剣闘士の試合や猛獣狩りと並んで行われたこの処刑は、ローマ社会において権力の誇示と大衆の娯楽が一体となった象徴的な存在だったのです。