中世ヨーロッパにおいて、「夜壺(チェンバー・ポット)」はごく普通に使われていた日用品でした。
あらゆるものには物語がある
そうです、どんなものにも歴史があります。それは「夜壺」と呼ばれる器も同じです。
一見地味で平凡なこの発明は、はるか昔から人々の生活に欠かせない存在であり続け、なんと20世紀後半まで実際に使われてきました。
木版画が映し出す、中世の日常の一コマ
写真に示された木版画は、中世のごくありふれた、ほとんど毎日繰り返されていた光景を描いています。
画面の中では、ある貴婦人が夜壺の中身をそのまま街路へと流しかけています。しかも、ちょうど彼女の部屋の真下では歌い手たちが集まり歌を披露しているというのに、彼女はまるでお構いなしなのです。
なぜ窓から捨てられていたのか
当時の家屋には、今日私たちが知っているようなトイレは一切ありませんでした。そこで、夜の間は夜壺を用いて用を足し、翌朝それをこのようにして空にする――というのが定着した習慣となっていたのです。
そしてその際、通りの前が空いているかどうか、誰かがたまたま通りかかるかもしれないことなど、人々はあまり気にかけていなかったといいます。