
映画『マリー・アントワネット』(1938年) に主演するノーマ・シアラー
今なお色あせない1930年代の傑作
1938年公開とあって現在ではやや古さを感じさせるものの、W・S・ヴァン・ダイク監督による『マリー・アントワネット』は、フランス革命の渦中でギロチン台に消えた悲劇の王妃を描いた映画の中でも、最も有名で美しい作品のひとつとして今も語り継がれています。
モノクロームの本作を際立たせているのは、大きく分けて二つの要素です。ひとつは出演者たちの確かな演技力。そしてもうひとつは、圧倒的な豪華さを誇る舞台装置です。
スタジオに再現されたヴェルサイユ宮殿
撮影では実物の宮殿は使われず、ヴェルサイユ宮殿の部屋や回廊がMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)のスタジオ内に完全に再現されました。さらに、ギルバート・エイドリアン(アドリアン)が手がけた数々の衣装は宝石のように精巧で、当時のファッション界にも大きな影響を与えたといわれます。
当然ながら、これほどの規模の製作はMGMにとって一大出費となりました。それでも本作は1930年代を代表する大作のひとつとなり、投資に見合う価値を十分に証明したのです。
史実への忠実さと大胆な脚色
ストーリーはシュテファン・ツヴァイクの伝記をもとに、当時の歴史的出来事をおおむね忠実になぞりつつも、随所に脚色が加えられています。特に力が注がれたのが、王妃とスウェーデン貴族ハンス・アクセル・フォン・フェルセンとの関係です。両者の仲が恋愛関係だったのかどうかは今日まで確定していない謎ですが、映画ではこのロマンスが情感たっぷりに描かれます。
王妃役には批評家・観客双方から絶大な支持を受けていたノーマ・シアラーが起用され、この役でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされました。フェルセン伯爵役を演じたのは、輝かしくも短いキャリアの絶頂期にあったタイロン・パワーです。
撮影現場の貴重な映像
記事の最後に掲載する動画(出典:youtube.com)には、撮影現場で収められた美しい写真の数々がまとめられています。映画、歴史、そしてマリー・アントワネットに興味のある方なら、きっと見応えのある内容でしょう。ぜひご覧ください。