
しばらく間が空いてしまいましたが、今回は再び過去の料理をテーマにお届けします。「歴史の一粒」では、古い時代の食文化を辿る記事がいつも高い人気を集めています。
今回ご紹介するのは、19世紀イタリアを代表する美食家ペッレグリーノ・アルトゥージ(Pellegrino Artusi)の有名な料理書に記された、卵黄ソースの鶏肉煮込み(Pollo in salsa d'uovo)のレシピです。
アルトゥージとはどんな人物?
アルトゥージ(1820年〜1911年)は実業家出身の美食家で、代表作『科学しながら上手に食べる芸術(La scienza in cucina e l'arte di mangiar bene)』は、イタリア家庭料理の金字塔として今なお読み継がれています。全700以上のレシピを収めたこの一冊は、イタリア各地の郷土料理を体系的にまとめた最初期の料理書として知られています。
原典に記されたレシピ
以下、彼の手引書からの引用です。
「若鶏を切り分け、バター50グラムとともに鍋に入れなさい。塩とこしょうで味付けをし、少し焼き色がついたら小麦粉をひとつまみ振り入れてきつね色に仕上げ、スープ(ブロード)で煮込みなさい。鶏肉を取り出して皿に盛り、温かく保っておきなさい。鍋に残ったソースに、レモン半分の絞り汁で溶いた卵黄を加えてソースを仕上げます。火にかけて軽くかき混ぜ、鶏肉にかけて供しなさい」
いかがでしょうか? 材料も手順もとてもシンプルで、意外と簡単に作れそうですよね。卵黄のコクとレモンのさわやかな酸味が鶏肉によく絡む、まさにイタリア家庭料理の真骨頂と言える一品です。ぜひ一度、19世紀の味を現代のキッチンで再現してみてはいかがでしょう。