歴史物語

ウィリアム・シャーマン将軍に下された命令とは?焦土作戦の全貌

アメリカ南北戦争期、北軍のウィリアム・テカムセ・シャーマン将軍は「海への進軍(マーチ・トゥ・ザ・シー)」として知られる大胆な作戦を指揮しました。彼に与えられた命令は、単なる戦闘での勝利にとどまらず、南部連合(アメリカ連合国)の戦争遂行能力そのものを崩壊させるという、徹底したものでした。

シャーマン将軍の主な命令内容

1. 軍事価値のあるものすべての破壊

ジョージア州からサウスカロライナ州へ部隊を行軍させ、途中で発見した軍事的価値のあるあらゆる物資や施設を破壊するよう命じられました。これにより、南部軍の補給線を物理的に断ち切ることが狙いでした。

2. インフラ攻撃による経済・兵站の麻痺

鉄道、橋梁、工場といった基幹インフラを重点的な標的とし、南部連合の経済活動と物流網に深刻な打撃を与えることが求められました。特に、鉄道のレールを加熱してねじ曲げる「シャーマンのネクタイ」と呼ばれる手法は有名です。

3. 作物と家畜の破壊による食料供給の遮断

畑の作物や家畜を意図的に破壊・没収し、南部の食料供給を弱体化させました。これは前線の兵士だけでなく、後方の民間人にも飢餓をもたらす、いわゆる「総力戦」の先駆けとなる手法でした。

4. 市民への対応方針

一般市民に対しては敬意を持って接することが原則とされました。ただし、南部連合を支持し続けることの代償を痛感させることで、戦争支持の意志を削ぐことが目的でした。実際、シャーマン軍による組織的な虐殺は記録上ほとんど見られません。

5. 奴隷の解放と北軍への参加促進

行軍中に出会った奴隷状態の人々を解放し、希望者には北軍への参加を奨励しました。この方針により、数千人の元奴隷が解放後に北軍の後方支援や兵士として戦争に携わることになりました。

まとめ:現代戦争思想に影響を残した焦土作戦

シャーマンの命令は、敵の軍隊だけでなくその経済・社会基盤ごと攻撃対象とする「総力戦」の考え方を体現したものでした。この作戦は南部の戦争継続能力を決定的に損ない、終戦を早めた一方、その非人道性をめぐる議論は現代まで続いています。