歴史物語

ロジャー・ウィリアムズが築いた「分離の壁」とは?政教分離の起源を解説

17世紀のイングランド出身の神学者・牧師であるロジャー・ウィリアムズは、植民地時代のロードアイランドにおいて、教会と国家(政府)の間に「分離の壁」を築き上げました。これは、政府が特定の宗教に介入したり、信仰を強制したりすることなく、すべての人々の宗教の自由を保障するための画期的な理念でした。

宗教の自由を求めて創設されたロードアイランド

当時のヨーロッパや北米の植民地では、国教が定められ、異なる信仰を持つ人々は迫害を受けるのが一般的でした。ウィリアムズ自身もマサチューセッツ湾植民地で宗教的な対立により追放され、1636年に現在のロードアイランド州プロビデンスを創設しました。彼はそこで、良心の自由は誰にでも等しく保障されるべきだと主張し、バプテスト、クエーカー、ユダヤ教徒といった宗教的少数派にも平等な権利を認める統治を実践したのです。

アメリカ建国思想への影響

ウィリアムズの「分離の壁」という考え方は、約150年の時を経てトーマス・ジェファーソンへと受け継がれます。ジェファーソンは1786年のバージニア州宗教自由法の起草に深く関わり、宗教の自由を法的に保障する道を開きました。

さらに1791年、権利章典(憲法修正第1条)の批准により、「議会は宗教の設立に関する法律、またはその自由な行使を禁止する法律を制定してはならない」という政教分離の原則が、アメリカ合衆国政府の基本原則として正式に確立されました。

こうしてウィリアムズが築いた理念は、現代アメリカにおける信教の自由と政教分離の礎となっているのです。