ルペルカル(Lupercal)とは、古代ローマで行われた豊穣祭「ルペルカリア」を祝うために設けられた洞窟のことです。この洞窟はパラティーノの丘のふもとに位置し、ローマの建国神話において、牝狼の乳によって育てられた双子の兄弟ロムルスとレムスが発見された場所であると伝えられています。
ルペルカリア祭とは
ルペルカリアは毎年2月15日に執り行われる祭りで、豊穣と多産をつかさどる神ルペルクス(牧羊の神ファウヌスと同一視されることもあります)に捧げられました。祭りの間、若い男たちは犠牲として捧げられた山羊の皮で作った鞭を手に街中を駆け回り、出会った女性たち、特に結婚や子宝を望む女性を打ったとされています。これにより女性が子を授かりやすくなると信じられていたためです。
『ジュリアス・シーザー』におけるルペルカル
シェイクスピアの戯曲『ジュリアス・シーザー』では、このルペルカル(およびルペルカリア祭)が物語の重要な舞台となります。劇の冒頭、マーク・アントニーは祭りの最中に、凱旋を果たしたジュリアス・シーザーの前に立ち、王冠を三度差し出します。シーザーはそのたびに辞退しますが、この場面は民衆の前で演じられる彼の権力への野心を暗示するものであり、劇全体の展開を左右する象徴的な転換点として描かれています。