歴史物語

多くのアメリカ植民地人を動かした『コモン・センス』――その中心思想とは?

『コモン・センス』の中心思想

多くのアメリカ植民地人の心をつかんだパンフレット『コモン・センス(Common Sense)』の根幹にある主張は、イギリスの支配からアメリカが独立すべきであるという訴えでした。

1776年1月に匿名で出版された本書は、イギリス生まれで後にアメリカ独立の熱烈な支持者となったトマス・ペイン(Thomas Paine)によって執筆されました。力強い政治的文書であった『コモン・センス』は、植民地における世論形成に大きな役割を果たし、独立への支持を急速に広げる原動力となりました。

『コモン・センス』が提示した5つの重要な主張

1. 自然権と平等

ペインは、すべての人間が生まれながらにして生命、自由、幸福の追求といった自然権を持っていると主張しました。これらの権利は本来備わった不可侵のものであり、いかなる政府もそれを奪ったり否定したりすることはできないと強調しました。

2. 王政への批判

ペインは君主制という制度そのものを批判し、国王はしばしば腐敗し、専制的で、社会に害をもたらす存在だと論じました。抑圧的な君主制と対比されたのが、統治される側の同意に基づいて運営される共和制の理念です。

3. 独立への呼びかけ

ペインは、植民地がイギリスから独立を宣言し、自らの主権国家を樹立すべきだと情熱的に訴えました。イギリス政府は繰り返し植民地人の権利を侵害しており、自由と幸福を確保する唯一の道はイギリスの支配から脱することだと説いたのです。

4. シンプルな統治のあり方

民主主義と共和主義の原則に基づいた、簡潔で効率的な統治形態を提唱しました。政府は人民に対して責任を負い、人民の権利と利益を守るように設計されるべきだと主張しました。

5. 団結と共通の目的

各植民地が団結し、一つの国家として結集することの重要性を強調しました。アメリカ革命の成功は、すべての市民の協力と決意にかかっていると述べています。

『コモン・センス』がもたらした影響

『コモン・センス』は植民地全体で広く読まれ、わずか数か月で推定50万人以上の読者に届きました。独立支持の世論を動員するうえで決定的な役割を果たし、今日ではアメリカ史上最も影響力のある政治パンフレットの一つと高く評価されています。