BUT(バックワード・ユーティリゼーション・セオリー)とは
BUTは「Backwards Utilization Theory(後退活用理論)」の略称です。この理論によれば、人間は時間やお金といった貴重なリソースを、自分の目標にとって逆効果になる形で使ってしまいやすい傾向があるとされます。
例えば、ダイエットを目指しているのに、かえって不健康な食事が増えて運動量が減ってしまうケース。あるいは、節約しようとしているのに、不要なものへのお金づかいが増えてしまうケースなどがその典型です。
BUT理論の起源:カーネマンとトヴェルスキーの研究
BUTは1970年代に、心理学者ダニエル・カーネマンとアモス・トヴェルスキーによって提唱されました。二人は、人間の意思決定が「ヒューリスティック(思考の近道)」に基づいて行われることを示しました。ヒューリスティックは感情や過去の経験によって偏りやすく、その結果、先延ばし、衝動的な浪費、不健康な食習慣といった、非合理的で自己破壊的な行動につながることがあります。
BUT理論を裏付ける研究
BUTの考え方は、数々の研究によって支持されてきました。
寄付に関する実験
ある実験では、慈善団体への寄付の機会を与えられた人々について、「他の誰かが同額を上乗せしてくれる(マッチング)」と伝えられた場合、より多く寄付する傾向があることが分かりました。つまり、人は何らかの見返りがあると感じると寄付しやすくなるのです。たとえその見返りが、寄付コストに見合う価値を持たないとしても、です。
割引販売に関する実験
別の研究では、割引価格で商品を購入できる機会を与えられた人々は、「期間限定オファーである」と伝えられた場合に、商品を購入しやすくなることが明らかになりました。時間的プレッシャーを感じると、割引が実際ほどお得ではない場合でも、衝動買いをしてしまいやすいということが示されています。
BUT理論が説明する自己破壊的な行動
BUTは、先延ばし、過剰な出費、不健康な食習慣など、さまざまな自己破壊的な行動を説明するのに役立ちます。自分の意思決定に影響を与える要因を理解することで、より良い選択ができるようになり、目標を自ら妨げてしまうことを防げるのです。
BUTの影響を克服するための7つのヒント
- 意思決定の際には、自分のバイアスや感情に気づくようにする
- 明確な目標を設定し、達成のための計画を立てる
- 目標を、小さく管理しやすいステップに分解する
- 成功を祝い、必要なときには助けを求めることを恐れない
- 自分に対して現実的な期待値を設定する
- 計画がうまく機能していないと気づいたら、思い切って方向転換する
- 諦めない。習慣を変えるには時間と努力が必要だが、必ず可能である
まとめ
人は誰でも、意図に反した行動を取ってしまうことがあります。BUT理論の視点を知り、自分の判断のクセや感情の偏りを意識することこそが、目標達成への第一歩です。完璧を目指すのではなく、小さな改善を積み重ねながら、着実に前進していきましょう。