1673年、フランス領カナダからミシシッピ川(当時「グレートリバー」と呼ばれていた大河)を探検する任務を託されたのが、宣教師ジャック・マルケットと毛皮商人ルイ・ジョリエットでした。二人がこの重要な遠征に選ばれたのは、それまでの探検で示してきた勇気と機転、そしてそれぞれが持つ卓越した経験と能力によるものです。
マルケットの資質:語学力と現地での経験
マルケットは宣教師として、数年にわたりネイティブ・アメリカン(先住民)の間で暮らしてきた経験がありました。そのため複数の先住民言語に精通しており、現地の人々との意思疎通において大きな強みを発揮できました。さらに、かつてスペリオル湖岸まで旅したこともある熱心な探検家であり、過酷な環境への適応力もすでに証明されていました。
ジョリエットの資質:水路の知識と地図作成技術
一方のジョリエットは、毛皮商人兼探検家として五大湖地域の水路を航行する豊富な経験を積んでいました。加えて熟練した地図製作者(カートグラファー)でもあり、未知の世界に対する旺盛な好奇心の持ち主でもありました。まったく知られていない河川を探索するうえで、これらの技能は不可欠なものでした。
二人をつないだ揺るぎない信仰心
もう一つの重要な理由は、二人とも篤い信仰心の持ち主だったことです。彼らは神が自分たちの旅を導いていると信じ、道中で出会う先住民にキリスト教を伝えるという強い使命感を抱いていました。この宗教的な動機は、探検中に直面する数々の困難を乗り越える原動力となっただけでなく、途中で接触した先住民の部族との信頼関係を築くうえでも大きく役立ちました。
このように、マルケットとジョリエットがグレートリバー探検に選ばれたのは、実践的な経験や技能といった能力面だけでなく、困難に立ち向かう精神的支柱となる信仰の両面において、この任務に最もふさわしい存在だったからこそと言えるでしょう。