「ヤンキー(Yankee)」という言葉の起源は、17世紀にさかのぼります。当時、現在のニューヨーク市にあたるニュー・アムステルダム植民地には多くのオランダ人入植者が暮らしていました。彼らを指す愛称として使われていたのが、オランダ語の「Jan Kees(ヤン・ケース)」だったとされています。
この呼び名は当初、オランダ人自身を指すものでしたが、やがてイギリス系植民者たちによって、ニューイングランド地方(アメリカ北東部)の住民全般を指す言葉へと変化していきました。
南北戦争で「北軍」の象徴に
19世紀半ばの南北戦争(1861年〜1865年)では、「ヤンキー」は北部諸州、そして北軍(ユニオン軍)の兵士たちを指す言葉として定着しました。南部の人々にとって「ヤンキー」は北部への対抗心を込めた呼び方でしたが、一方で北部の人々自身もこの言葉を誇りを持って使うようになりました。行進曲「ヤンキー・ドゥードゥル」が北軍の楽曲として親しまれたことも、このイメージを一層強めることとなりました。
「アメリカ人」を表す一般名称へ
戦後も「ヤンキー」は北部出身者を指す言葉として残りましたが、時代とともにその意味は広がり、海外から見た「アメリカ人全般」を表す総称として使われるようになりました。有名な野球チーム「ニューヨーク・ヤンキース」の名称にもこの言葉が採用されており、アメリカ文化におけるこの言葉の浸透ぶりがうかがえます。
日本での「ヤンキー」との違い
なお、日本で一般的に知られている「ヤンキー」は、不良少年や暴走族などを指す独自の意味合いで使われることが多く、アメリカ英語における「Yankee」とは意味が大きく異なります。同じ言葉でも国によってまったく違うイメージを持つようになった点は、言葉が海を越えて移動する過程の面白さを物語る好例といえるでしょう。