HOLC・FHA・USHAとは?
HOLC(Home Owners' Loan Corporation/住宅所有者貸付公社)、FHA(Federal Housing Administration/連邦住宅局)、USHA(United States Housing Authority/米国住宅庁)は、いずれもアメリカ国民の住宅需要に応えるために設立された連邦政府機関です。3つの機関はそれぞれ異なる時期に誕生し、大恐慌からニューディール政策の時代にかけて、アメリカの住宅政策の中核を担ってきました。
HOLC(住宅所有者貸付公社):1933年設立
HOLCは1933年、ルーズベルト政権のニューディール政策の一環として創設されました。その主な目的は、大恐慌の影響で住宅ローンの返済に行き詰まった住宅所有者を救済することでした。
当時の多くの住宅ローンは短期の一括返済型だったため、失業や収入減が起きると返済不能に陥り、競売(差し押さえ)が急増していました。HOLCはこうしたローンを低金利・長期返済条件で借り換えることで、多数の世帯を住居喪失の危機から守りました。また、支払いが滞っている住宅所有者への融資も実施しています。
FHA(連邦住宅局):1934年設立
FHAは1934年に設立され、低・中所得層の家庭向け住宅ローンの保険(保証)業務を担いました。FHA自身が直接資金を貸し出すのではなく、民間金融機関が組んだモーゲージを保証することで貸し倒れリスクを減らし、住宅購入資金を調達しやすくした点が大きな特徴です。
さらにFHAは、住宅建築および貸出慣行に関する基準(建築基準・与信基準)を設定し、民間の貸し手から融資を受けられない住宅購入者への支援も行いました。ただし、後年の研究では、FHAの融資審査が人種的に偏った「レッドライニング」を助長したという批判も指摘されています。
USHA(米国住宅庁):1937年設立
USHAは1937年、ニューディール政策の一環として設立され、低所得層のアメリカ人向けに公営住宅(公共住宅)を供給することを目的としました。
USHAは自ら公共住宅プロジェクトの建設・運営を行うとともに、地方の住宅当局に対し、独自に公営住宅を建設するための融資も提供しました。これによりスラムの改良や劣悪な住環境からの脱却が進み、アメリカにおける公営住宅制度の基盤が築かれました。
まとめ:3機関の役割の違い
HOLCは既存ローンの借り換えによる差し押さえ防止、FHAはローン保険を通じた住宅取得の支援、USHAは公営住宅の建設・供給と、それぞれ役割を分担しながら、各時代のアメリカにおける「手頃な価格の住まい」の確保に重要な役割を果たしました。これら3機関の取り組みは、今日のアメリカ住宅政策にも大きな影響を与え続けています。