ナチス・ドイツによる強制収容所への収容は、ユダヤ人だけを対象としたものではありませんでした。1933年から1945年にかけて、ナチス政権は「政治的・人種的・社会的に望ましくない」とみなしたさまざまな集団を逮捕し、強制収容所や絶滅収容所へと送り込みました。以下は、その代表的な犠牲者となった集団です。
ロマ(シンティ・ロマ)の人々
ロマの人々は「人種」に基づく迫害の対象となり、家族ごと連行され、数千人が命を落としました。この悲劇は「ポライモス(Porajmos)」とも呼ばれています。
障害者
身体的・知的障害を持つ人々は「生存する価値のない生命」とみなされ、「T4作戦」と呼ばれる安楽死プログラムのもとで組織的に殺害されました。これはホロコーストの前段階とも位置づけられています。
エホバの証人
国家への忠誠宣誓や兵役を信仰上の理由から拒んだエホバの証人は、激しい弾圧を受けました。彼らは紫色の三角布章を着用することを強制されましたが、多くの者が信念を貫きました。
政治的反体制派・活動家
共産主義者、社会主義者、アナキスト、労働組合員など、ナチス政権に反対する政治活動家たちは、強制収容所の最初期からの主要な収容対象でした。政権発足直後から、反対勢力の排除が最優先課題の一つとされていたのです。
同性愛者
男性同性愛者は刑法第175条に基づいて逮捕され、ピンク色の三角布章を着用させられました。収容所内でも特に厳しい扱いを受けることが多かったと記録されています。
フリーメイソン
ナチス政権はフリーメイソンを「ユダヤ人の世界的陰謀」と結びつけて敵視し、ロッジの解散と会員の弾圧を進めました。多くのメンバーが逮捕・収容されました。
このように、強制収容所の犠牲者は極めて多様な背景を持つ人々で構成されていました。それぞれの集団が異なる布章(色分けされた三角形の標識)を着用させられたことは、ナチスが人々を体系的に分類・管理していたことを物語っています。