「ウォール街が大恐慌を引き起こした」という表現には、実は誤解が含まれています。正確に言えば、ウォール街そのものが大恐慌の原因となったわけではありません。ただし、1929年にニューヨーク証券取引所で起きた株価大暴落は、大恐慌の重要な発端の一つとされています。
大恐慌はいつ、どこで始まったのか?
大恐慌(The Great Depression)は、1930年代にアメリカ合衆国から始まった世界的な深刻な経済不況です。発端は1929年10月24日の「暗黒の木曜日(ブラック・サーズデー)」に始まる株価暴落であり、10月29日の「暗黒の火曜日(ブラック・チューズデー)」で売りパニックが決定的になりました。この株価暴落をきっかけに、銀行の連鎖倒産、企業の大量倒産、失業率の急上昇が発生し、経済危機は瞬く間に世界中へと波及していきました。
世界GDPは約15%も縮小
大恐慌の影響は甚大で、1929年から1932年にかけて世界の国内総生産(GDP)は推計でおよそ15%も減少しました。これは現代では想像を超える規模です。国際貿易も激減し、各国が保護主義的な政策を採用したことで、世界経済全体が長い低迷期に陥りました。
リーマン・ショック後の「世界金融危機」との比較
比較対象としてよく挙げられるのが、2008年から2009年にかけて発生した世界金融危機(グレート・レセッション)です。このときの世界GDPの減少幅は1%未満にとどまりました。この数字の差を見れば、大恐慌がどれほど深刻で異例の危機であったかがわかります。
20世紀で最も長く、深く、広範な不況
大恐慌は、20世紀において最も長く、最も深く、そして最も広範囲に及んだ経済後退でした。アメリカでは失業率が約25%に達し、その影響は1930年代末まで続いたとされています。この経験は、政府による経済介入(ニューディール政策など)や金融政策のあり方を根本的に変え、現代のマクロ経済学の発展にも大きな影響を与えました。