レディ・マクベス――野心に燃える妻
レディ・マクベスは、主人公マクベスの妻であり、並外れた野心の持ち主として描かれます。実のところ、劇中で悲劇的な事件が次々と起こる原因をつくったのは、夫であるマクベスよりもむしろ彼女の方だったとさえ合理的に主張できるでしょう。
本来自分のものではないと分かりきっている王冠を手に入れるため、彼女はダンカン王殺害という恐ろしい計画を推し進めます。当初はその考えを拒もうとしていた夫に対し、彼女は容赦なく罵倒し、男らしさも勇気もないと責め立てることで、心の弱い夫を巧みに思い通りに操ったのです。
「本当の強さ」とは何か
この戯曲の中心にあるテーマの一つが、「人を強くするもの、あるいはタフにするものとは何か」という問いです。物語が展開していくうちに、真に重要なのは肉体の強さでも意志の強さでもなく、道徳的な規範(モラル)の強さこそが最も価値あるものであることが明らかになっていきます。