ブラックパンサー党は「最大の脅威」だったのか?
「ブラックパンサー党はアメリカの国家安全保障にとって最大の脅威だった」という言説を目にすることがあります。しかし、これは必ずしも正確な歴史認識ではありません。
FBIが警戒したのは複数の過激派組織
当時のFBI(連邦捜査局)は、1960年代後半から1970年代にかけて、時期ごとに異なる複数の過激派グループを国内安全保障上の重大な脅威とみなしていました。その対象には、次のような団体が含まれます。
- クー・クラックス・クラン(KKK):白人至上主義を掲げ、リンチや爆破テロなどを繰り返した人種差別団体。
- ウェザーアンダーグラウンド:ニューレフト(新左翼)運動から分裂した急進派で、政府関連施設への爆弾攻撃などを実行した。
ブラックパンサー党へのFBIの対応
もちろん、ブラックパンサー党がFBIに無視されていたわけではありません。1966年にカリフォルニア州オークランドで設立された同党は、黒人の武装自衛や地域社会への奉仕活動(無料の朝食提供プログラムなど)で知られていましたが、ジョン・エドガー・フーヴァーFBI長官は同党を国内治安への重大な脅威と位置づけ、COINTELPRO(対諜報活動計画)と呼ばれる秘密の監視・妨害工作の標的としました。
とはいえ、FBIの脅威評価は時期によって変化しており、特定の一組織が一貫して「ナンバーワンの脅威」とされ続けたわけではありません。KKKやウェザーアンダーグラウンドなども、それぞれの時期に同等以上に危険視されていました。
まとめ
ブラックパンサー党は確かに厳しい弾圧を受けた重要な政治組織でしたが、「米国の国家安全保障における最大の脅威」と断定するのは不正確です。FBIは1960年代後半から70年代にかけて、複数の過激派グループを状況に応じて最大の脅威とみなしており、その中にはKKKやニューレフト系の暴力的分派も含まれていたのです。