クレオパトラ7世が我が子に「カエサリオン」という名を与えたのは、その父親がローマの独裁官ユリウス・カエサルであったことにちなんだからです。
「カエサリオン(Caesarion)」とは、ギリシャ語で「小さなカエサル」「若きカエサル」を意味する呼び名です。母であるクレオパトラは、息子が偉大な父カエサルの血を引いていることを示すため、この名を選びました。
正式な名前と誕生
カエサリオンの正式な名は「プトレマイオス15世フィロパトル・フィロメトル」であり、紀元前47年頃に誕生しました。当時のクレオパトラは、カエサルとの関係を通じてエジプトの王位を守ろうとしており、息子への命名には政治的な狙いも含まれていました。
名前に込められた政治的意図
「小さなカエサル」という名は、単なる愛称にとどまりません。それは息子をカエサルの正統な後継者として位置づける主張でもあったのです。クレオパトラはこの名によって、息子をエジプトとローマ双方の権力継承者としてアピールしようとしました。
実際、カエサル暗殺後の紀元前44年、カエサリオンは母とともにエジプトの共同統治者となり、後にマルクス・アントニウスによって「カエサルの実子」として公式に認められています。こうして「カエサリオン」という名は、母子の運命を象徴するものとなったのです。