シーア派とスンニ派とは
シーア派とスンニ派は、世界最大の宗教の一つであるイスラム教を構成する二つの主要な宗派です。シーア派に属するムスリム(イスラム教徒)は「シーア派徒」、スンニ派に属するムスリムは「スンニ派徒」と呼ばれます。
両派の分裂の起源――後継者をめぐる対立
シーア派とスンニ派の根本的な違いは、イスラム教の預言者ムハンマドの死後、「誰が正当な後継者となるべきだったのか」をめぐる見解の相違にあります。この対立は7世紀にさかのぼり、1400年以上にわたって両派の関係に影響を与え続けてきました。
シーア派の立場
シーア派は、ムハンマドの従兄弟であり娘婿でもあったアリー・イブン・アビー・ターリブこそが正当な後継者(イマーム)であるべきだと考えています。シーア派の伝統では、アリーとその血筋の子孫だけが共同体を導く宗教的・政治的権威を持つとされてきました。
スンニ派の立場
一方、スンニ派は、ムハンマドの最も信頼の厚い仲間(サハーバ)の一人であったアブー・バクルが、初代のカリフ(後継者)として選ばれたことを支持しています。スンニ派では、指導者は共同体の合意に基づいて選ばれるべきだという考え方が伝統的に受け継がれています。
現在の両派の勢力分布
この歴史的な分岐は、今日の中東諸国の政治や社会情勢にも深く関わっています。現在、世界のムスリムの約85〜90%はスンニ派であり、残りの約10〜15%がシーア派です。シーア派はイラン、イラク、バーレーン、アゼルバイジャンなどで多数派を占め、レバノンやパキスタンなどにも大きなシーア派コミュニティが存在します。