実は、現在のバングラデシュにあたるベンガル地方は、厳密な意味で「イギリス帝国」の直轄領として統治された期間は限られており、その大部分はイギリス東インド会社による支配下にありました。ここでは、その歴史的経緯を時代順にわかりやすく解説します。
ムガル帝国の時代(~1757年)
ベンガル地方は、16世紀以降、ムガル帝国の重要な領土として繁栄していました。肥沃なデルタ地帯に恵まれた農業地帯であり、米や絹の生産で知られ、当時の首都ダッカは世界有数の商業都市として栄えていました。
1757年:プラッシーの戦いと東インド会社の支配
転機となったのは1757年のプラッシーの戦いです。イギリス東インド会社の軍勢がベンガル太守の軍を破り、ベンガル地方の実質的な支配権はムガル帝国から東インド会社へと移りました。その後、1764年のブクサールの戦いを経て1765年に徴税権(ディワーニ)を獲得したことで、東インド会社による支配は確固たるものとなりました。
イギリス直轄植民地時代(1858年~1947年)
1857年のインド大反乱(セポイの反乱)をきっかけに、翌1858年には東インド会社の領土がイギリス王室に移管され、ベンガル地方は正式にイギリス領インド帝国、すなわちイギリス帝国の一部となりました。この体制は約90年間続きました。
1947年:パキスタン(東パキスタン)への帰属
1947年、イギリス領インドの独立に伴い、宗教構成に基づいてインドとパキスタンに分割されました。ベンガル地方の東側はイスラム教徒が多数を占めていたため、「東パキスタン」としてパキスタンの一部となりました。
1971年:バングラデシュの独立
しかし、西パキスタンとの間で言語・文化・経済格差をめぐる対立が深刻化し、1971年にバングラデシュは独立を宣言。バングラデシュ独立戦争を経て、主権国家として国際社会に承認されました。
まとめ
バングラデシュ地域の歴史は、おおむね次のような流れで推移してきました。
- ~1757年: ムガル帝国の領土
- 1757年~1858年: イギリス東インド会社の支配
- 1858年~1947年: イギリス直轄植民地(イギリス領インド)
- 1947年~1971年: パキスタンの一部(東パキスタン)
- 1971年~: バングラデシュとして独立
つまり、バングラデシュは「イギリス帝国の一部になった」というより、まず東インド会社に支配され、その後にイギリス領インドの一部となり、最終的にパキスタンを経て独立を果たしたというのが正確な歴史像といえます。