アジアの歴史

古代中国人は何語を話していた?中国語3000年の変遷をひもとく

中国語は世界で最も長い歴史を持つ言語の一つであり、3000年以上にわたって書き言葉として記録され続けてきました。その姿は時代とともに大きく変化し、言語学では一般的に「上古漢語」「中古漢語」「現代中国語」という三つの段階に分けて研究されています。ここでは、それぞれの時代の特徴をわかりやすく見ていきましょう。

上古漢語――最古の記録された中国語

中国語の最古の記録は、殷(商)王朝の時代(紀元前1600年頃~紀元前1046年頃)にさかのぼります。この時代の言語を「上古漢語(オールド・チャイニーズ)」と呼びます。上古漢語は文法構造が比較的シンプルで、現代中国語のような声調(トーン)システムはまだ完成していなかったと考えられています。

上古漢語を記録するために使われていたのが「甲骨文字」です。甲骨文字は殷王朝で発達した文字体系で、動物の骨や亀の甲羅に占いの結果を刻むために用いられました。これらの甲骨文は中国最古の体系的な文字資料であり、当時の言語や社会を知る貴重な手がかりとなっています。

中古漢語――声調が確立した時代

次の大きな段階は「中古漢語(ミドル・チャイニーズ)」です。中古漢語は南北朝時代から隋・唐の時代(おおよそ6世紀~10世紀)にかけて話され、音韻の研究が大きく進んだ時期でもあります。この時代には「平・上・去・入」と呼ばれる四つの声調が確立され、文法構造も上古漢語より複雑になっていきました。中古漢語の音韻体系を知るうえでは、隋の時代に編まれた韻書『切韻』が最重要の資料とされています。

文字の面では、秦・漢の時代に普及した「隷書」が、甲骨文字よりもはるかに整った標準化された書体として広く使われるようになりました。隷書はのちに楷書へと発展し、以降の中国書道の基礎となっています。

現代中国語――10億人以上が話す言語

そして現在、世界で10億人以上の人々によって話されているのが「現代中国語」です。現代中国語は声調を持つ言語で、北京語(普通話)を代表とする多彩な方言を有しています。文法構造は複雑ですが、表記としては20世紀に制定された「簡体字」が中国大陸で標準となりました。簡体字は伝統的な繁体字をもとに筆画を簡略化したもので、識字率の向上を目的として導入されたものです。

まとめ

甲骨文字から簡体字まで、中国語とその文字は数千年の時を経て絶えず変化してきました。それでも、その根底にある言語の連続性は途絶えることなく今日まで受け継がれています。古代の文字を読み解くことは、単なる言語研究にとどまらず、中国文明の歴史そのものに触れることだといえるでしょう。