ヤンキーの語源には複数の説が存在
アメリカの歴史や文化に深く根ざす言葉である「ヤンキー(Yankee)」。その語源については明確な定説がなく、これまでさまざまな説が唱えられてきました。ここでは、特によく知られている3つの説を紹介します。
1. オランダ語起源説
最も有力視されているのがオランダ語起源説です。17世紀、現在のニューヨーク周辺にはオランダの植民地があり、当時のオランダ人は英語圏の入植者を指して「ヤンケ(Janke)」と呼んでいたといわれています。「ヤンケ」はオランダで親しまれた名前「ヤン(Jan)」の愛称形で、日本語でいう「ジョニーちゃん」のような、親しみを込めた呼び名でした。
2. 先住民(インディアン)起源説
次に挙げられるのは、北米先住民の言葉に由来するという説です。アルゴンキン語族の言語にある「イェンキー(eankke)」は「臆病者」を意味するとされ、先住民たちが英語系の入植者を評する際に使ったのが始まりだと言われています。
3. スコットランド語起源説
もう一つの説では、スコットランド語の「ヤンキー(yankey)」、すなわち「賢い」「抜け目ない」という意味の言葉が語源だとされています。アメリカ大陸へ渡ったスコットランド系移民が、機転の利くイングランド人を指して使ったというものです。
アメリカのアイデンティティとなった「ヤンキー」
独立戦争の頃には、「ヤンキー」はニューイングランド地方の人々を指す呼び名として定着しました。民謡「ヤンキー・ドゥードゥル」はもともとイギリス軍によるからかいの歌でしたが、独立軍がむしろ誇りとして歌ったことで広く知られるようになりました。南北戦争期には北部軍(北軍)の通称としても使われ、現在では海外において「アメリカ人全般」を表す言葉として用いられることもあります。
本当の語源がどれなのかは今なお謎に包まれていますが、「ヤンキー」という言葉はこうした歴史を経て、アメリカの歴史と国民的アイデンティティに欠かせない存在となったのです。