「孤立政策」という前提には誤解がある
「アメリカは第一次世界大戦の開始時に孤立政策を採用したのか?」という問い自体に、実はよくある誤解が含まれています。結論から言えば、アメリカは開戦時に孤立政策を採用したわけではありません。採用していたのはあくまで中立政策であり、この二つは似ているようで意味が大きく異なります。
開戦当初のアメリカの立場は「中立」だった
1914年にヨーロッパで戦争が勃発した際、ウィルソン大統領は直ちに中立を宣言しました。これは、交戦国のどちらの陣営にも加担せず、距離を置くという外交上の立場です。
一方、「孤立主義(孤立政策)」とは、ヨーロッパの紛争や同盟関係から全面的に手を引くという、より広範な対外姿勢を指します。当時のアメリカは貿易などを通じてヨーロッパ諸国と深く関わり続けており、国際社会から切り離されていたわけではないのです。
1917年、連合国側へ参戦へ
中立政策は最後まで維持されたわけではありません。ドイツによる無制限潜水艦作戦によるアメリカ船舶への攻撃や、ドイツがメキシコに対してアメリカ攻撃を持ちかけたとされる「ツィンメルマン電報」の暴露などにより、アメリカ国内の世論は一気に硬化しました。
こうした経緯を経て、アメリカは1917年4月、正式に連合国側として第一次世界大戦に参戦することになります。
まとめ
つまり、第一次世界大戦開始時のアメリカの立場は「孤立」ではなく「中立」であり、戦局や国際情勢の変化を受けて、1917年に連合国側へと歩み寄った、というのが歴史的事実です。「孤立政策」という言葉で語られがちですが、正確には中立政策の時期と参戦の時期に分けて理解するのが適切でしょう。