北米植民地の種類とは?13植民地を3つの地域に分けて徹底解説
17世紀初頭から18世紀にかけて、北米大陸の東海岸には主にイギリス人移民によって多数の植民地が建設されました。これらは後にアメリカ合衆国の原型となった「13植民地」と呼ばれ、一般的にニューイングランド植民地、中部植民地、南部植民地という3つの地域グループに分類されます。それぞれの地域は気候・地形・産業・宗教などにおいて大きく異なる特色を持っていました。以下では、各植民地の設立年や成立の背景、特徴について詳しく見ていきます。
1. ニューイングランド植民地
北米東北部に位置するニューイングランド地方には、宗教的迫害を逃れて新天地を求めたピューリタン(清教徒)たちが多く移り住みました。寒く岩の多い土地で大規模な農業には不向きだったため、漁業・造船・貿易などの商工業が盛んに発展しました。
A. マサチューセッツ湾植民地
1630年、宗教的自由を求めて渡航したイギリスのピューリタンたちによって設立されました。ボストンを中心に厳格な神権政治体制が敷かれ、ハーバード大学の創設に代表されるように、植民地全体の学問と文化の中心地として急速に発展しました。
B. プリマス植民地
1620年、「メイフラワー号」に乗って渡ったイギリスのピルグリム・ファーザーズ(巡礼始祖)たちによって設立されました。ピューリタンよりも穏健な思想を持つ集団であり、プリマスでは比較的寛容な社会が築かれました。なお、この植民地は1691年にマサチューセッツ湾植民地へ併合されています。
C. コネチカット植民地
1636年、トーマス・フッカー率いるピューリタンの一団によって設立されました。世界初の成文憲法とも言われる「基本規約」に基づく民主的な統治を行い、肥沃な土地と交易を背景に経済的に繁栄した、影響力のある植民地として知られました。
D. ロードアイランド植民地
1636年、マサチューセッツ湾植民地の厳しい宗教政策に反発したロジャー・ウィリアムズらバプテスト派の人々によって設立されました。信教の自由を全面に掲げ、あらゆる宗教的異端者を受け入れる避難所となり、寛容な宗教政策で広く知られるようになりました。
E. ニューハンプシャー植民地
1623年頃、イギリス人の漁師や商人たちによって設立されました。人口の少ない小さな植民地でしたが、美しい自然景観と豊かな森林・水産資源に恵まれており、1679年には王領植民地として正式に認められました。
2. 中部植民地
ニューイングランドと南部の間に位置する中部植民地は、オランダ・スウェーデン・ドイツなど多国籍の移民を受け入れた、きわめて多様性の高い地域でした。肥沃な土地に恵まれ「パンの植民地」とも呼ばれ、商業も大いに栄えました。
A. ニューヨーク植民地
1624年にオランダ人入植者によって「ニューネーデルラント」として建設され、1664年にイギリスが占領してニューヨークと改名しました。オランダ系・イギリス系・フランス系・ドイツ系など多様な住民で構成され、当時最大の都市ニューヨーク市を擁する商業の中心地として繁栄しました。
B. ペンシルベニア植民地
1681年、クエーカー教徒(友会徒)のウィリアム・ペンが、宗教的自由を求める人々のために設立しました。「兄弟愛の植民地」とも呼ばれ、信教の自由・民主的な統治・知的文化の発展で知られる、寛容で繁栄した植民地となりました。中心都市フィラデルフィアは当時最大級の都市へと成長します。
C. デラウェア植民地
1638年、スウェーデン人入植者によって「ニュースウェーデン」として建設されたのが起源です。その後オランダ、さらにイギリスの支配下に入りました。人口の少ない小さな植民地でしたが、肥沃な土壌に恵まれ、農業生産で知られていました。
D. ニュージャージー植民地
1664年、イギリス人入植者によって設立されました。イギリス系・オランダ系・スウェーデン系・ドイツ系など多様な民族で構成され、ニューアークやトレントン、エリザベスといった重要な都市を抱える商業拠点でもありました。
3. 南部植民地
温暖な気候と広大な平野に恵まれた南部植民地では、タバコ・米・藍などを生産するプランテーション(大農園)経営が盛んに行われ、富裕な農園主階級が社会を支配しました。農業労働力として奴隷労働に大きく依存していた点も大きな特徴です。
A. バージニア植民地
1607年、ジェームズタウンへの入植をもって成立した、北米におけるイギリス最初の恒久的植民地です。タバコ栽培を基盤に大きな富を築き、大規模なプランテーションと裕福な農園主階級で知られる、影響力のある植民地へと発展しました。
B. メリーランド植民地
1634年、カトリック教徒のカルバート家(ボルティモア卿)によって、宗教的自由を求める人々の避難所として設立されました。カトリックへの寛容な宗教政策で知られ、またタバコ生産と大規模プランテーションを基盤とした繁栄した植民地でもありました。
C. ノースカロライナ植民地
1653年頃からイギリス人入植者が定住を始めました。人口密度の低い辺境的な植民地でしたが、豊かな天然資源と温暖な気候に恵まれ、松ヤニ(タール)や木材の生産でも知られていました。
D. サウスカロライナ植民地
1670年、チャールストンを中心にイギリス人入植者によって設立されました。米作を中心とした大規模プランテーション経営により南部有数の豊かな植民地となり、富裕な農園主階級が台頭しました。
E. ジョージア植民地
1732年、ジェームズ・オグルソープらによって、負債を抱えた人々の更生の場となる「債務者の植民地」として構想され、イギリス領13植民地の中で最後に設立されました。人口の少ない小さな植民地でしたが、温暖な気候と農業生産で知られ、スペイン領フロリダに対する緩衝地帯としての役割も担いました。
まとめ
北米の13植民地は、設立の動機も運営のあり方も実に多彩でした。宗教的自由を求めたニューイングランド、多様な民族と商業が育った中部、プランテーション経済が発達した南部——こうした地域ごとの違いが、後のアメリカ合衆国の政治・経済・文化の土台となりました。各植民地の成り立ちを理解することは、アメリカ史の出発点を知るうえで非常に重要です。