ジェラルド・フォード(Gerald Ford)は、アメリカ合衆国の歴史において、国民の投票によって大統領に選出されたことのない、唯一の大統領です。彼が大統領の座についたのは、1974年8月9日のことでした。
フォードが大統領に就任した経緯
フォードは、リチャード・ニクソン大統領がウォーターゲート事件の責任を問われて辞任したことに伴い、副大統領から第38代アメリカ合衆国大統領に昇格しました。つまり、彼は選挙戦を勝ち抜いて大統領になったのではなく、憲法上の継承手続きによって就任したのです。
なぜ「選挙で選ばれていない」のか
フォードの経歴は、米国史上でも非常に特異なものです。
- 1973年10月: スピロ・アグニュー副大統領が汚職スキャンダルにより辞任したことを受け、憲法修正第25条に基づき、連邦議会の承認を得て副大統領に指名されました。
- 1974年8月9日: ニクソン大統領の辞任により、副大統領のまま大統領に昇格しました。
このため、フォードは副大統領と大統領の両方の職を、一度も国民の選挙で選ばれることなく務めた史上唯一の人物となっています。
就任後のおもな動き
フォードは就任後まもなく、ニクソンに対する全面的な恩赦(赦免)を発表し、世論の大きな反発を招きました。また、同年12月にはネルソン・ロックフェラーを副大統領に指名しています。1976年の大統領選挙では共和党候補として再選を目指しましたが、民主党のジミー・カーターに敗れ、政権の座を退きました。