19世紀末から20世紀初頭にかけて、列強各国はアフリカやアジアを中心に熾烈な植民地獲得競争を繰り広げていました。1900年の時点で特に大きな植民地帝国を保有していたのは、イギリス、フランス、ロシア、スペイン、ポルトガルの5カ国です。以下では、それぞれの帝国の規模と支配していた主な地域を詳しく見ていきましょう。
1. イギリス帝国:史上最大の「太陽の沈まない国」
イギリス帝国は歴史上最大の帝国として知られ、「太陽の沈まない国」と称されました。1900年当時、その領土はすでに1,000万平方キロメートルをはるかに超えており、最盛期(1920年頃)には約3,500万平方キロメートル、地球の陸地の約4分の1に達しています。
アフリカでは現在のナイジェリア、ケニア、南アフリカ、エジプトなどを、アジアではインド、パキスタン、ミャンマー(ビルマ)、マレーシアといった南アジア・東南アジアの広範な地域を統治していました。さらにアメリカ大陸では現在のカナダやカリブ海諸島、ガイアナを、オセアニアではオーストラリアやニュージーランドをも支配下に置いていました。
2. フランス帝国:世界第2位の植民地帝国
フランス帝国は1900年時点で世界第2位の規模を誇り、その面積は約1,000万平方キロメートルに及びました。
アフリカではアルジェリア、セネガル、マダガスカルのほか、「フランス領西アフリカ」と呼ばれる広大な地域を支配していました。アジアではベトナム、カンボジア、ラオスからなるフランス領インドシナを統治し、アメリカ大陸では仏領ギアナやマルティニーク島を保有していました。
3. ロシア帝国:ユーラシア大陸に広がる巨大国家
ロシア帝国は約2,200万平方キロメートルという壮大な領土を擁していました。ただし、その大部分は海外植民地ではなく、シベリアや中央アジアへの陸続きの領土拡大によって獲得されたものであり、この点でイギリスやフランスのような海外植民地帝国とは性格が異なります。
ヨーロッパ部分には現在のロシアのほか、ポーランドやフィンランド、バルト諸国が含まれ、アジア部分ではシベリア全土と中央アジア一帯を統治していました。なお、北米のアラスカは1867年にアメリカへ売却済みであるため、1900年の時点ではロシア領ではありません。
4. スペイン帝国:かつての覇権国、衰退への道
スペインは16世紀から17世紀にかけて、中南米の大部分を含む世界最大級の帝国を築いた歴史を持ちます。しかし、19世紀初頭のラテンアメリカ独立戦争によってメキシコや南米大陸のほとんどの植民地を失い、さらに1898年の米西戦争ではキューバ、プエルトリコ、フィリピン、グアムを喪失しました。
その結果、1900年時点のスペインの植民地は、赤道ギニア(リオムニとフェルナンドポー島)や西サハラなど、アフリカの限られた地域にとどまっていました。それでも、かつて支配した領域の広さを考えれば、歴史上最大級の帝国の一つであることに変わりはありません。
5. ポルトガル帝国:大航海時代の先駆者
ポルトガルは15世紀に始まる大航海時代の先駆者であり、世界最古の植民地帝国とも言われます。1900年時点のその領土は約200万平方キロメートルでした。
アフリカではアンゴラ、モザンビーク、ギニアビサウ、カーボベルデ、サントメ・プリンシペを、アジアではマカオ、東ティモール、そしてインド西海岸のゴアを支配していました。なお、ブラジルは1822年に独立しているため、1900年の時点ではポルトガル領には含まれません。
まとめ
1900年の時点で最大の植民地帝国を保有していたのは間違いなくイギリスであり、フランスがこれに続きました。ロシアは陸続きの領土拡大による巨大国家として別格の存在であり、スペインとポルトガルはかつての栄光こそ失われたものの、依然としてアフリカやアジアに重要な植民地を保持していました。こうした植民地をめぐる列強の対立は、20世紀の国際情勢を左右する大きな要因となり、第一次世界大戦の遠因の一つにもなっていきました。