1765年にイギリス議会が制定した印紙法(Stamp Act)は、北米植民地に課された直接税です。七年戦争(フレンチ・インディアン戦争)などで膨らんだイギリスの財政赤字を埋めるため、植民地からの歳入確保を目的として導入されました。この法律により、植民地内で作成されるあらゆる紙の文書には、イギリス政府から購入した印紙付きの用紙を使用することが義務付けられました。
印紙法の主な内容
印紙法の特徴的な点は、以下の通りです。
- 対象範囲の広さ: 法律文書、契約書、許可証だけでなく、新聞、パンフレット、暦などの印刷物にも印紙の貼付が求められました。
- 支払い通貨の指定: 印紙代はイギリス通貨での支払いが義務付けられ、植民地は自国の通貨ではなくイギリス通貨を調達する必要がありました。これは植民地経済にとって大きな負担となりました。
- 直接税である点: 従来の間接的な関税とは異なり、人々が直接感じる形の課税だったため、反発が一層強まりました。
植民地での激しい反発
印紙法は植民地全体で広範な抗議運動を引き起こしました。植民地の人々は、「代表なくして課税なし(No taxation without representation)」という有名なスローガンのもと、イギリス議会に自分たちの代表がいないのに課税されるのは不当だと主張しました。また、この税はイギリス臣民として持つべき基本的な権利の侵害であるとも訴えました。商人たちはイギリス製品のボイコットを行い、各地で抗議集会やデモが展開されました。
廃止とその後の歴史的影響
こうした強い抵抗を受け、イギリス議会は1766年に印紙法を撤回しました。しかし、この出来事がもたらした影響は計り知れません。植民地の人々は団結して権利を主張する力を実感し、イギリスとの対立構造は深まっていきました。印紙法は後のアメリカ独立戦争(1775年〜)へとつながる重要な転換点の一つとなったのです。