アメリカ合衆国の建国の父たち(Founding Fathers)によれば、不可譲の権利(inalienable rights)とは、人間であること自体に由来する、生まれながらにしてすべての人に備わっている本質的かつ基本的な権利を指します。これらの権利は政府の権限が及ぶ範囲を超えたものとみなされ、いかなる権威によっても放棄させられたり、手放させられたり、奪い取られたりすることはできないと考えられていました。
自然権思想との深い関わり
不可譲の権利という概念は、自然権(natural rights)の哲学と密接に結びついていました。自然権思想では、特定の道徳的・法的権利は人間の本性そのものに内在しており、政治体制や法制度とは独立して存在するとされます。これらの権利は普遍的なものであり、社会的地位、宗教、性別にかかわらず、すべての人々に等しく適用されるものでした。
独立宣言への反映
建国の父たちは、アメリカの法制度および政治制度の基盤を形作る過程で、自然権と不可譲の権利の思想を積極的に取り入れました。彼らは、こうした権利こそが人間の自由・自律・幸福の追求に不可欠であると確信していたのです。
1776年に起草された独立宣言には、「すべての人間は平等に創られ、造物主によって一定の奪い得ない権利を授けられている」と明記され、その中には生命、自由、幸福の追求が含まれています。この一節は、不可譲の権利思想を最も有名に表した言葉として広く知られています。
合衆国憲法と権利章典への影響
不可譲の権利の概念は、合衆国憲法および権利章典(Bill of Rights)の発展にも大きな影響を与えました。これらの文書は、政府の権力に制限を課し、基本的な自由が侵害から守られることを保証することで、個人の権利行使を保護・保障することを目指しました。
アメリカ社会の礎石として
建国の父たちとの関係において、不可譲の権利はアメリカ社会と政府の根幹を支える基本原則と位置づけられていました。それはアメリカ法制度の礎石として機能し、今日アメリカの人々が享受している数多くの権利や自由の理論的基盤となっているのです。